不動産投資は、高額な資産である不動産を扱う投資手法です。高額であるがゆえに始める前にはあらゆるリスクを把握し、総合的にジャッジしたいですよね。。
不動産投資で失敗しないためにも物件を購入する前や運用中、売却時などで生じる様々なリスクを理解し、適切な対処を心がけることでリスクを最小限に抑えつつ運用することが重要です。
そこで今回は、不動産投資で生じる5大リスクについて詳しく解説するとともに、対処法についても言及していきます。初めての方にもわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にして下さい。
それでは早速見ていきましょう。
不動産投資で生じるリスクとは?
不動産投資で生じるリスクはいくつかありますが、大きく「購入前」「運用中」「売却時」のリスクに分類できます。なかでも注意すべきは「運用中」に生じるリスクです。
ここからは、不動産を運用している最中に気を付けていただきたいリスクに着目して、詳しく解説していきます。
不動産を運用するなかで生じるリスクとは?
不動産を運用しているなかで生じるリスクは、さらに「コントロールできるリスク」と「コントロールできないリスク」に分けられます。
前者のリスクはある程度の操作が可能であり、予防策も講じやすいのですが、後者のリスクは予防ができないので、リスクへの「対策」を用意しておくことが大切です。
不動産投資に取り組む際には「コントロール可能なリスクかどうか」によって、投資家が取れる行動が変わることを理解しておきましょう。次でコントロールできるリスクについて詳しく見ていきます。
コントロール可能なパターン
コントロールできるリスクとは、事前にある程度のリスクヘッジができるものを指します。大きく以下の3つが考えられます。
コントロールできるリスク
- 空室率
- 家賃滞納
- 不動産価格の減少
それぞれ詳しく見ていきましょう。
空室率
不動産投資で生じるリスクのなかでも、広く認識されているのが空室率(空室リスク)です。いかにして空室リスクを下げるかが不動産投資の成否を分けると言っても過言ではありません。
空室率は、運用している物件に借り手や住人が集まらず、家賃収入が発生しない不動産(空室)が、どれくらいあるのかを示したものです。例えば、1棟のアパートを経営していたとして、全部で10戸あるうちの5戸しか埋まっていなかったとしたら、空室率は50%となります。
空室が増えると、家賃収入が大きく減少するので、ローンの支払いが滞ったり、キャッシュフローを悪化させたりといったデメリットにつながります。また、空室率が高いまま放置してしまうと、利益が減少するだけでなく、最悪の場合はローンが支払えずに物件を手放すケースへ発展してしまうでしょう。
空室が長く続くと投資に大きなダメージを与えます。不動産投資に取り組む際は、利回りや購入価格だけでなく「空室率をいかに下げられるか」という視点でも物件を探すようにしましょう。
空室率を下げるには、運用している不動産に入居希望者が集まってくる必要があります。つまり、「どのように人を集めるか」という考え方が、空室リスクの低下に直結しているのです。
入居希望者を集める方法は、大きく2つです。
- 不動産が存在するエリアのニーズを押さえ、立地や設備などを考慮して最適な物件を選ぶ
- 客付けに強い賃貸管理会社を探して集客まで一貫して依頼する
まず、不動産投資は博打ではなく「経営」であることを強く意識しましょう。
大学が多いエリアには、県内外から一人暮らしの大学生が集まりますし、ベッドタウンはファミリー層からの人気があります。
こうしたエリアごとの住人のタイプや志向を読み取り、ニーズを割り出してそれに応える物件を選ぶことが大切です。ニーズに合わせてリノベーションに取り組むことも視野に入れて、空室率を下げる努力をおこないましょう。
集客という面では、客付けに強い賃貸管理会社を探して、集客まで一貫して依頼することも大切です。賃貸管理会社によって、空室リスクの高さは大きく異なります。不動産のタイプやエリアに合わせて、最適な賃貸管理会社を選ぶようにしましょう。
家賃滞納
運用している不動産に入居者が入ったあとにも、大きなリスクが潜んでいます。入居者が家賃を滞納してしまうリスクです。これを家賃滞納リスクと呼びます。
下図の通り家賃滞納率は高く、全国平均で5.0~5.2%の方が家賃を滞納していることが分かっています。20人に1人が家賃を滞納していると考えると、家賃の滞納はかなり大きなリスクであると言えます。
引用:入居率・滞納率│第24回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』
家賃を滞納されてしまうと、空室ではないのに家賃収入が手に入らず、キャッシュフローが悪化するのです。このリスクを低くするためにも「信頼できる賃貸管理会社へ依頼する」ことをおすすめします。
家賃の滞納リスクを抑えるために重要なのが、賃貸保証会社へ依頼することです。これまでのセオリーとして、入居者に連帯保証人を用意してもらうことで家賃の滞納リスクを引き下げていました。
しかし、近年は入居者に対して「賃貸保証会社」の審査を通過してもらうことで、家賃の滞納リスクを引き下げようとする動きが強くなっています。
賃貸保証会社を活用すれば、仮に入居者が家賃を支払えなくなったとしても、賃貸保証会社が入居者の家賃分を立て替えてくれます。家賃の滞納リスクをゼロにできるので、ぜひ検討してみていただきたい方法です。
不動産価値の減少
不動産のように経年劣化していく固定資産には、年々価値が減少していくリスクが発生します。
例えば、新築の物件は高い価格で取引されているのに対して、既に誰かが入居していたり、築年数が1年以上経過してしまったりすると、売却時の価格も大きく下落します。
「新築」というブランドが失われることで、買い手や借り手から選んでもらえなくなったり、設備の劣化によって不動産の持つ魅力が減少したりといった原因が考えられます。
このように、不動産の価値は一定ではなく、年数が経つにつれて低下していくのです。価値が低下すると、家賃の下落や空室率の上昇といったデメリットも併発しやすくなります。そのまま放置していると、どんどん人気のない物件へと変わっていってしまうでしょう。
そこで大切なのが「修繕費用の積み立て」です。
不動産投資では、価値が減少した不動産で収益を上げるために、外観や設備の修繕費用を毎月の家賃収入から積み立てて、何年後かの修繕のタイミングに備えます。適切なタイミングで修繕をおこなえば、価値の減少を抑えて、不動産の人気を取り戻せるのです。
ちなみに、こうした目には見えない価値の減少を可視化するために、不動産のような固定資産には「減価償却」という費用の勘定が設けられています。減価償却を用いて、不動産の価値を年々減らしていき、不動産が持っている実際の価値と帳簿上の価値を同じものに保とう、という狙いがあります。
コントロールできないパターン
不動産投資に取り組むなかで、コントロールできないリスクに直面することも当然あります。コントロールできれば、ある程度リスクを低減できることはわかりましたが、コントロールできないリスクはどのように対処すれば良いのでしょうか?
次で2つの不動産投資のリスクについて見ていきます。
金利の上昇
不動産投資に取り組む方の多くは「不動産投資ローン」を組んで、融資を受けてから投資をスタートさせます。どの金融機関で融資を受けたとしても、必ず生じるのが「金利」です。
不動産投資のローンには、大きく「変動金利」と「固定金利」という2つのタイプが存在し、金利上昇リスクは「変動金利」を選んだ場合にのみ発生します。
固定金利は返済が終わるまでのあいだ、景気変動が起きたとしても金利が変わらずに固定されるのですが、変動金利は景気変動の影響を受けて、金利が上がる可能性を孕んでいるのです。
不動産投資で組むローンは数千万円単位と金額が大きく、金利が上がると毎月の返済額にも大きな影響を与えます。金利が上昇したためにキャッシュフローが圧迫され、資金の回収率が悪くなったり、利益が減少したりといったデメリットにつながってしまうのです。
これらの理由から、大局観を持って不動産投資に取り組むうえで「金利」は非常に重要な要素となります。金利の上昇リスクを抑えるためには、「固定金利でローンを組む」「できるだけ低金利の金融機関でローンを組む」などの対策が求められます。
災害や火災
不動産はその性質上、地震や洪水といった災害や火災によって、家屋が倒壊したり価値が著しく減耗したりといったリスクを孕んでいます。こうしたリスクはコントロールできるものではないので、どのような対策を講じるかが大切です。
地震に対しては、「耐震構造の物件に投資する」「地盤の強いエリアを選ぶ」「地震保険へ加入する」などの対策が考えられます。
1981年以降に制定された新耐震基準をクリアした耐震構造の物件であれば、大地震が起きたときの倒壊リスクを抑えられますし、地盤の強いエリアを選べば地震によって引き起こされる土砂崩れや地すべりといった二次被害を抑えられます。
また、仮に地震によってこれらの被害を受けても、地震保険に加入していればあらかじめ指定していた金額の保険金を受け取れるので、さらにリスクを引き下げられるのです。地震保険は火災保険とセットでなければ加入できないので、火災保険と一緒に加入しておきましょう。
不動産投資で生じるリスクを低減するために
不動産投資は景気や経年劣化、災害に至るまで、あらゆるリスクと隣り合わせになっている投資です。投資金額も高額になりやすいので、生じうるリスクを理解したうえで、慎重にリスクヘッジをおこなう必要があります。
この記事では、不動産投資で生じる5大リスクについて、ポイントと対策を解説してきました。あらためておさらいしておきます。
コントロールできるリスク | コントロールできないリスク |
・空室率・家賃の滞納・不動産価額の減少 | ・金利の上昇・災害や火災 |
これらは、不動産投資で生じるリスクの中でも特に注意が必要です。この記事を参考に、リスクの内容や対策を押さえてから不動産投資を始めましょう。