火災保険や地震保険は多くの場合、マイホームを購入したときに契約しますが、内容がよくわからない人も多いのではないでしょうか。
地震保険は単独では契約できず、火災保険にセットする形で加入します。
今回は火災保険と地震保険の基本と、それぞれがカバーする補償を詳しく解説します。
地震保険を付帯するか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた専門家
金指 歩
保険のプロ
編集者・ライター。編プロ組織『となりの編プロ』代表。
大学在学中にFP3級を取得し、新卒で入社した大手信託銀行に4年半勤務。
住宅ローンや投資信託の営業、法人向け預金商品の営業や研修などを担当したのち、
不動産関連会社へ転職。その後証券会社、IT企業を経て、2017年よりフリーライターとして、
2020年頃より編集者として活動。金融系記事やビジネス系記事を多く制作している。
https://write-edit-kana.com
地震保険の特徴
地震保険とは、地震や噴火、津波などによって住宅や家財が損壊した場合に、補償を受けられる保険です。単独での契約はできず、火災保険に任意で付帯する形での加入となります。
地震保険は民間の保険会社と政府の共同運営で成り立つ、公共性の高い保険です。一般的な火事と違い、地震が発生すると損害は地域全体に広がります。民間の保険会社では補償しきれないおそれがあり、保険金の支払いを政府が支援する仕組みになっているのです。
そのため、保険料や補償内容は一律であり、加入する保険会社による違いはありません。
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で決めることができます。ただし、建物が最大5,000万円、家財が最大1,000万円までです。
年々付帯率の上がる地震保険
地震保険の付帯は任意のため、加入しないという選択肢もあります。しかし近年は自然災害や震災などが頻発し、地震保険の必要性を認識する人が増えました。そのため、以下の表のように、火災保険に地震保険を付帯する割合は少しずつ増えています。
【地震保険の付帯率の推移】
2012年 | 56.5% |
2013年 | 58.1% |
2014年 | 59.3% |
2015年 | 60.2% |
2016年 | 62.1% |
2017年 | 63.0% |
2018年 | 65.2% |
2019年 | 66.7% |
2020年 | 68.3% |
2021年 | 69.0% |
2022年 | 69.4% |
火災保険の特徴
火災保険は火災の他、風災・雪災・水災などの自然災害や盗難などによって建物や家財が受けた損害を補償する保険です。
保険期間は1年から5年までの間で選べ、長期契約になるほど保険料が割安になります。保険料は保険の目的や所在地、建物の構造など、リスクの大小によって決まります。
火災保険の補償内容は保険会社によってさまざまにカスタマイズでき、自分に合ったプランの選択が可能です。
地震保険と火災保険の違い
前述の通り、地震保険は火災保険に付帯する保険であり、火災保険は単独で加入できる保険です。よって、どちらかを選ぶものではありません。その点を頭に入れた上で、地震保険と火災保険の違いを見ていきましょう。
保険の対象となるもの
地震保険と火災保険の補償範囲は、地震保険のほうが狭くなります。
【火災保険の対象となるもの】
火災保険における保険の対象は、建物と家財です。建物だけ、家財だけといったどちらかのみの契約も、建物と家財の両方を契約することも可能です。
【地震保険の対象となるもの】
地震保険の対象となるのは、住居部分のある建物および居住用建物に収用されている家財一式です。建物と家財は火災保険同様、それぞれ別の契約となります。
補償される損害の範囲
火災保険では火災だけでなく、自然災害(地震・噴火・津波を除く)や盗難による損害でも補償を受けられます。それに対し、地震保険で補償対象となるのは、火災保険で補償対象外となる地震・噴火またはこれらによって発生した津波による損害です。
【火災保険で補償される損害】
火災保険で補償される主な損害は、以下のとおりです。
損害の種類 | 内容 |
火災、落雷、破裂・爆発 | 失火やもらい火による損害、落雷による損害、ガス漏れなどによる爆発の損害 |
風災・雹(ひょう)災・雪災 | 暴風による損害、雹やあられの損害、大雪による損害 |
水災 | 豪雨による洪水、土砂崩れなど水害からの損害 |
外部からの物体の落下、飛来、衝突 | クルマの飛び込みなど外部からの物体によって生じた損害 |
漏水、放水、溢水(いっすい)による水濡れ | 給排水設備の故障などによる水漏れの損害 |
騒擾(そうじょう)または労働争議に伴う破壊行為 | 集団による暴力行為・破壊行為の損害 |
盗難 | 空き巣などによる損害、盗難による汚損・破損の損害 |
汚損・破損 | 家具を移動中に壁にぶつけて壊したなど、突発的な事故による損害 |
【地震保険で補償される損害】
地震保険で補償される損害は、地震などを直接または間接の原因として建物や家財が火災、損壊、埋没、流失した場合です。具体的には以下のような例が補償対象となります。
- 地震の揺れで住宅が倒壊した
- 地震による火事で住宅が全焼した
- 地震でダムが決壊し、住宅が流された
- 噴火による溶岩流で住宅と家財が損壊した
- 地震による山崩れで住宅が埋没した
- 津波で住宅が流された
保険会社ごとの違い
火災保険の補償内容は、損害保険会社による大きな違いはありません。基本となる火災、落雷、破裂・爆発の補償にその他の補償を必要に応じてセットする方式が一般的です。この補償の組み合わせの自由度が保険会社によって異なります。また、保険料や保険料の割引制度も保険会社によって差があります。
地震保険はどの保険会社でも補償内容や保険料が一律です。よって、火災保険の内容によってのみ保険会社を選ぶことになります。
支払われる保険金
地震保険と火災保険で、損害が起きたときに支払われる保険金について見ていきましょう。
【火災保険の保険金】
火災保険で支払われる保険金の上限は、契約している保険金額です。たとえば、自宅に保険金額3,000万円の火災保険を契約しているとします。その場合、損害の内容によって以下のように保険金が支払われます。
- 火事で全焼した場合:保険金3,000万円
- 台風で屋根が飛ばされて修理費用が300万円かかった場合:保険金300万円
契約内容によっては所定の費用保険金が支払われる場合もあります。
【地震保険の保険金】
地震保険は地震保険損害認定基準によって損害の程度が認定(全損・大半損など)され、その認定によって保険金が支払われます。
損害の程度は以下のように定められています。
損害の程度 | 建物 | 家財 | ||
主要構造部の損害額 | 消失・流出した床面積 | 床上浸水 | ||
全損 | 建物の時価の 50%以上 | 建物の延床面 積の70%以上 | 損害額が家財の時価の80%以上 | |
大半損 | 建物の時価の 40%以上50%未満 | 建物の延床面 積の50%以上70%未満 | 損害額が家財の時価の60%以上80%未満 | |
小半損 | 建物の時価の 20%以上40%未満 | 建物の延床面 積の20%以上50%未満 | 損害額が家財の時価の30%以上60%未満 | |
一部損 | 建物の時価の 3%以上20%未満 | 建物が床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を受け、損害が生じた場合で小半損・一部損に至らないとき | 損害額が家財の時価の10%以上30%未満 |
損害の程度ごとに支払われる保険金額は、以下のとおりです。
- 全損:地震保険金額の100%(時価額が限度)
- 大半損:地震保険金額の60%(時価額の60%が限度)
- 小半損:地震保険金額の30%(時価額の30%が限度)
- 一部損:地震保険金額の5%(時価額の5%が限度)
保険期間
火災保険と地震保険の保険期間は、いずれも最長で5年です。地震保険は主契約である火災保険と同じ期間か、1年で設定します。
保険料控除
地震保険には地震保険料控除がありますが、火災保険の損害保険料控除は廃止されました。
地震保険料控除とは支払った地震保険部分の保険料に応じて、所得控除を受けられる制度です。地震保険料控除の適用を受けるには、年末調整や確定申告での手続きが必要です。
地震保険料控除の控除額は以下のように定められています。
- 年間の支払保険料5万円以下:支払保険料全額
- 年間の支払保険料5万円超:一律5万円
地震保険の加入方法
地震保険は火災保険のオプションのようなものであり、単独では契約できません。火災保険にセットして加入します。
地震保険なしで契約した火災保険に、後から地震保険を付けることも可能です。
地震保険と火災保険でカバーできないもの
地震保険と火災保険の補償対象を解説しましたが、補償対象外となるケースも確認しておきましょう。
火災保険でカバーされない損害
火災保険で補償されない損害には、以下のようなものがあります。
- 地震や噴火による損害
- 経年劣化による損害
- 故意や重大な過失、法令違反による損害
- 免責金額に満たない損害
- 戦争や騒乱による損害
- 傷が付いた程度の機能に問題がない損害
地震保険でカバーされない損害
地震保険では門や塀も建物の補償の対象となりますが、建物に損害がなく、門や塀のみの損害だった場合は補償の対象外になります。
また、以下のような家財は、地震保険の補償の対象に含まれません。
- 通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手など
- 自動車
- 1個(1組)が30万円を超える貴金属、書画骨董(こっとう)などの美術品
- 稿本、設計書、図案、証書、帳簿など
その他、以下のような損害は地震保険の対象外です。
- 地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害
- 地震発生後の紛失または盗難による損害
地震保険の必要性が高い人
火災保険に地震保険をプラスすると、地震が発生した場合の補償を受けられますが、より大きな保険料を負担しなければなりません。しかし、地震で家が損傷した場合のリスクが高い人は、保険料を支払ってでも加入したほうがよいといえます。
住宅ローンを返済中の人
住宅ローンを返済中の人は、火災保険に地震保険を付帯するほうがよいでしょう。地震や噴火など不可抗力の自然災害で家を失ったとしても、住宅ローンの支払いは免除されません。住宅ローンの残高を一括返済できなければ、失った住まいのローンを支払い続けなければならないわけです。
ローンの残債の全額を地震保険で賄えないとしても、返済額を大きく軽減できるでしょう。
被災により収入の途絶える可能性がある人
飲食店経営など被災によって事業が再開できなくなり、収入が途絶える可能性のある人も地震保険に加入しましょう。地震保険の目的は、被災者の生活の安定です。大企業に勤務する会社員や公務員に比べて被災による経済的ダメージの大きい人には、地震保険の必要性は高いといえます。
地震や噴火のリスクが高い地域に住む人
巨大地震による被害を受ける可能性の高い地域に住む人は、地震保険に加入したほうがよいでしょう。地震リスクの高い地域の地震保険料は高めですが、地震が発生する確率の高さを考えると、備えたほうが安心です。地震による損害のリスクは都道府県単位だけでなく、居住する場所の崖崩れなどのリスクも考慮しましょう。
地震保険の補償内容を理解して必要性を考えよう
地震保険は火災保険に任意で付帯する補償であり、補償内容も火災保険に比べて限られています。しかし、地震による火災などの損害は、地震保険に加入しなければ補償されません。地震保険の加入を検討する人は補償内容をよく理解し、地震発生時にどのような経済的リスクがあるかを考える必要があります。リスクが高いと判断した場合、地震保険に加入しましょう。
また火災保険金を申請する際の相談する際だけでなく、
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