「マンションに住んでいるし水災補償は必要ないだろう」
「洪水や土砂災害が起きにくい地域だし、水災補償はいらないかな」
水災補償に加入するか否かで悩んでいる人の中には、このように考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、近年日本では水災による被害が増加していることに加え、水災による損害額は大きくなる傾向にあります。そこで、今回の記事では火災保険で補償される「水災補償」の概要についてお伝えした後、補償を受けられる条件や補償範囲について解説します。
この記事の監修者
金指 歩
保険のプロ
編集者・ライター。編プロ組織『となりの編プロ』代表。
大学在学中にFP3級を取得し、新卒で入社した大手信託銀行に4年半勤務。
住宅ローンや投資信託の営業、法人向け預金商品の営業や研修などを担当したのち、
不動産関連会社へ転職。その後証券会社、IT企業を経て、2017年よりフリーライターとして、
2020年頃より編集者として活動。金融系記事やビジネス系記事を多く制作している。
https://write-edit-kana.com
近年重要性が増している水災補償とは
火災保険における「水災」補償では、台風や暴風雨、豪雨などによる洪水被害や高潮、土砂崩れによって損害を被った際に保険金を受け取ることができます。川や海が近くにない場合であっても低地など水が溜まりやすい地形の場合、被害を受ける可能性があるため注意が必要でしょう。自分の家が今どういった場所に建っていて、どのような災害が想定されるのか、各自治体のハザードマップなどで確認することをおすすめします。
水災補償を受けられる条件
水災補償で保険金が支払われるのは、以下のいずれかに当てはまる場合に限られます。
・再調達価額の30%以上の損害を受けた場合 ・床上浸水もしくは地盤面から45㎝を超えて浸水した場合 |
ここで言う「再調達価額」とは、損害を被った建物や家財と同程度のものを取得する際に必要となる金額のことです。保険会社によっては「新価」や「保険価額」などと呼ばれるケースもあるので、確認しておくとよいでしょう。
水災に対して火災保険から支払われる損害保険金
水災にあった場合に火災保険から支払われる金額は、以下の計算式によって求められます。
火災保険からの損害保険金=損害額-自己負担額(免責金額)
なお、損害額には建物や家財を復旧するうえで必要な金額に加え、残存物の片付け費用や原因調査費用も含まれます。自己負担額については火災保険の契約時に一定額を選ぶことになりますが、自己負担額が多ければ多いほど保険料は割安となります。
火災保険については以下の記事で詳しく解説をしています。
近年の水災状況
近年では集中豪雨や大型の台風による河川の氾濫や土砂崩れなど、水災による被害が増加傾向にあります。
【主な水害】 平成30年7月豪雨(西日本豪雨):住宅被害約50,500棟 令和元年東日本台風など:住宅被害約99,000棟 令和2年7月豪雨:住宅被害約16,600棟 |
また、水災による被害は大きくなる傾向にあり、令和元年に東京都のマンションの個室が浸水し個室そのものと家財に被害が生じた際は、約1,800万円もの損害が生じています。
とくに都市部はコンクリートやアスファルトで覆われていることもあり、短時間の大雨で急激に事態が悪化することも珍しくありません。1時間に50㎜以上の非常に激しい雨が降ると、「内水氾濫(下水道などの排水が追いつかず地上に水が溢れること)」が生じやすいとされており、昨今問題になっています。そうした中で、火災保険の水災補償に対する必要性はますます高まっているといえるでしょう。
水災による建物及び家財の補償例
水災で想定される被害として、以下のようなケースが考えられるでしょう。
・台風の影響で近くの川が氾濫し、床上浸水が生じた ・集中豪雨による土砂崩れが生じ、家の中に土砂が流れ込んでしまった ・ゲリラ豪雨でマンホールによる排水が追いつかず、浸水被害が生じた ・豪雨で自宅の塀が崩れ、隣家の車を傷つけてしまった ・台風による大雨の影響で雨漏りが生じ、家具が汚損してしまった |
このように、水災による損害は建物に限らず、建物内の家財や周辺の家にも及びます。火災保険の水災補償はこうした事態が生じた際に役立ちます。また、火災保険では補償対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」のいずれかから選択することになりますが、水災補償についてもその設定に準じる点に注意しましょう。
なお、家財の補償を選んだ場合、敷地内にある家具や家電が補償の対象となる一方で「明記物件」に注意が必要です。明記物件とは1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝石、美術品を指し、家財保険を設定する際に保険証券へ明記しなければなりません。明記していないものについては、補償の対象外となる恐れがあるほか、補償が制限されることがあるため注意が必要です。
水災の補償が及ばないケースもある
ここでは水災補償が受けられないケースをいくつかご紹介します。
地震による津波や土砂崩れによって被害が生じた場合
地震が原因で津波や土砂崩れが生じ、住宅や家財に損害が出た場合、水災の補償対象外となるケースがほとんどです。地震による被害は、水災補償では補償対象外となることから、地震保険への加入を検討しておくと安心です。なお、地震保険は火災保険とセットで加入する必要があるため、火災保険加入時に補償内容や範囲について忘れずにチェックしておきましょう。
雨漏りによって水漏れが生じた場合
マンションやアパートの上階でお風呂やトイレが故障して雨漏りが生じ、自宅の壁面や家電製品などに損害が出た場合も水災には該当しません。水道管や配水管、貯水タンクをはじめとする給排水設備の事故を起因とする水災は「水漏れ」の補償範囲となります。とくに集合住宅に住んでいる方は水災だけでなく水漏れの被害も想定されることから、どのようなリスクがあるのかを踏まえたうえで補償内容を検討することをおすすめします。
雹(ひょう)や雪によって被害が生じた場合
雹(ひょう)や雪が降った重みで屋根が押しつぶされ、建物や家財に損害が出た場合も水災補償の補償対象外となります。風災や雹災、雪災として補償されることになるため、寒冷地や雪国に住んでいる方はきちんと確認しておきましょう。
事故が起きてから保険金請求まで3年以上が経過している場合
保険金の請求ができる期間は保険法によって3年間と定められています。そのため、水災によってなんらかの被害が生じた場合は、その時点で速やかに保険会社へ連絡をすることが大切です。また、保険会社の中には保険法と異なる請求期限を設けているケースもあることから、加入時に確認しておくと安心でしょう。万が一、入院していて請求ができなかった、水災補償があることを知らなかったなどの理由で時効が過ぎてしまったとしても、場合によっては請求が認められることもあるため、保険会社に問い合わせてみることをおすすめします。
火災保険の必要書類については以下の記事で詳しく解説をしています。
火災保険に水災補償を追加できるか確認してみよう
今回の記事では水災補償の概要や補償例をはじめ、補償されないケースについても解説しました。現在加入している火災保険があれば、場合によって水災補償の後付けが認められる可能性があるので、一度確認してみることをおすすめします。また、ハザードマップで被害のリスクを把握できるため、水災補償を付加するか否か悩んだ場合は参考とするとよいでしょう。この機会に水災を含めた災害リスクについて認識を深めておくことで、万が一の際に自分の身を守ることにも繋がります。
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