火災保険で水漏れの補償を受けるには?対象となる損害について解説

私たちが生活を送る中で起こりうるリスクのひとつに「水漏れ」があります。マンションの上の階から水が漏れてきたり、集中豪雨や台風によって住居が床上浸水の被害に遭ったりすることもあるでしょう。また、自分が加害者側となって階下の住民に水漏れの被害を与えるケースも少なくありません。

そのような水漏れが生じ、建物や家財が損害を受けた場合には、火災保険の水濡れ補償によって保険金を受け取れる可能性があります。この記事では、水漏れが起きた際に火災保険で補償される事例や補償されない事例について解説します。

この記事の監修者

キムラミキ

不動産投資のプロ

ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント 日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、 FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、 中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、 山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
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水漏れは火災保険で補償される?

火災保険の水濡れにおいて住宅に損害が生じた場合、補償を受けることが可能です。また、火災保険に「個人賠償責任特約」を付帯していた場合、自分が加害者となって水漏れ事故を起こしてしまい、相手に損害を与えた場合も補償対象となります。

多くの火災保険では基本補償に水濡れが含まれていますが、家財の水濡れに対する補償を受けたい場合には、建物だけでなく家財も水濡れの対象とする必要がある点に注意が必要です。

火災保険における水濡れと水災の違いは?

火災保険の水に関する事故に対する補償として「水濡れ」と「水災」の2つが挙げられます。どちらも水に関連した損害を補償するものですが、水濡れ補償と水災補償では補償の範囲が大きく異なる点に注意が必要です。ここではそれぞれの違いについて見ていきましょう。

水濡れ

水濡れ補償は自宅の給排水設備の事故や、他人の戸室で生じた事故に伴う漏水などによる水漏れで住宅に損害を受けた場合に保険金を受け取ることが可能です。具体的には以下のようなケースが挙げられます。

・給水管が老朽化に伴って破裂し、室内が水浸しになり、損害が生じた
・天井裏の水道管が破裂し、水濡れ損害が生じた

水災

対する水災補償では、台風や集中豪雨など自然災害による損害(洪水・高潮・土砂崩れなど)を受けた場合に保険金を受け取ることができます。水災の例は、以下のケースです。

・集中豪雨で自宅が床上浸水の被害を受けてしまった

・台風で近くの川が氾濫し、クロスやフローリングの張り替えが必要となってしまった

・豪雨などの影響で家の裏にある山で土砂崩れが生じ、家が押し流されてしまった

このように、火災保険における「水濡れ補償」と「水災補償」では保険金を受け取れるケースが大きく異なります。例えば、高層マンションに住んでいて、洪水や土砂崩れの被害に遭う可能性が低いケースは、水災補償を付帯していないことも多いでしょう。

ただし、水濡れ補償は付帯しておかないと、万が一マンションの上階から漏水被害を受けた場合などに補償を受けられないので注意が必要です。

水漏れで火災保険の補償対象となる事例

火災保険では水漏れを起因とする損害が起きた場合、「風災」「水濡れ」「水災」のいずれかで補償を受けられます。それぞれの違いについては、先にお伝えしましたが、暴風雨などの影響で家の屋根が飛んでしまい、雨漏りが生じた場合には「風災」、水道管の破損によって水漏れが生じたら「水濡れ」と、原因別に適用される補償が異なる点に注意が必要です。

水漏れで火災保険の補償対象とならない事例

火災保険の水濡れ補償では補償対象外となる事例がいくつか存在します。ここでは、その中でもよくある事例についてみていきましょう。

故意あるいは不注意による水漏れ

水濡れ補償で適用される事故は、偶然かつ突発的なものに限られます。そのため、自分が故意あるいは不注意によって水漏れが起きてしまい、自宅に損害が生じたとしても補償の対象とはなりません。例えば、洗濯機のホースが外れてしまった、お風呂の栓をしたまま水を出しっぱなしにしてしまったというケースが該当します。

他人の建物や家財に損害が生じた場合

自分が加害者となり、水漏れによって階下の部屋や家財に損害を与えてしまった場合にも、火災保険の水濡れ補償を受けることはできません。他人の建物、家財に対する損害は個人賠償責任特約でカバーすることになります。

経年劣化に伴う水漏れ

建物や設備が経年劣化に伴い老朽化し、水漏れが生じた場合には補償の対象外となります。そうした不具合が生じることのないよう、定期的なメンテナンスを心がけることが大切です。

洪水や集中豪雨に伴う水濡れ

洪水や集中豪雨などの自然災害が原因で床上浸水が生じ、損害が出た場合は水濡れ補償の対象外となります。水災補償の範囲となるため、必要があれば検討すると良いでしょう。

消火活動などによる放水で水漏れが生じた場合

隣の家や上階などで火災が発生し、消防活動による放水が原因で自宅や家財に損害が生じた場合も水漏れの補償対象外となり、この場合は火災保険そのもので補償されることになります。

水漏れが発生したのが3年以上前である場合

保険法(※保険契約に関する一般的なルールをまとめた法律)には、保険は事故が発生した日から3年以内に請求をしなければ時効扱いになることが明記されています。とはいえ、実務上は事故から3年を経過していても保険金が支払われるケースも多いため、まずは一度加入している保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。

なお、保険金の請求には、事故があったことを証明するための写真や修繕の見積書が必要です。とくに写真は事故から年数が経過している場合に重要な資料となるので、紛失などで見当たらない場合には補償を受けられない可能性が高くなります。

家財保険については以下の記事で詳しく解説をしています。

家財保険は必要ない?家財保険で補償を受けられるパターンを紹介

2023.11.14

火災保険で補償される範囲を正しく理解しよう

今回の記事では、火災保険における水濡れと水漏れの違い、また、補償されない事例について解説しました。

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この記事を書いた人

織瀬ゆり

元信託銀行員。AFP・2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。 それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。 2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。

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