火災や自然災害などで、建物だけでなく家財も被害を受けてしまうことがあります。家財保険は加入した方が良いのでしょうか。家財保険の補償範囲や火災保険が必要なケースについて解説します。
この記事の監修者
松田聡子
保険のプロ
明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。
企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、
金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP®・
DCアドバイザー・証券外務員2種
https://gunmaf.net/gunmafp/
家財保険はどのような保険?
家財保険は、建物内に収容されている家財の火災などによる損害を補償する保険のことです。家財とは、家具や家電、衣服、食器などの生活用の動産のことを指します。
家財保険と火災保険では補償範囲はどう違う?
家財保険は、火災保険の一種です。以下の表のように、契約の内容によって補償範囲が変わってきます。
火災保険 | |||
建物・家財 | 建物のみ | 家財のみ (家財保険) | |
補償範囲 | 右記の建物と家財の両方をカバー | ・所有する住居(マンションの場合専有部) ・門や塀 ・車庫 ・畳や床材 ・冷暖房設備(エアコンなど) ・調理台や浴槽 ・建物に固定されたTVアンテナ ・庭木など | ・家具 ・家電製品 ・衣類 ・建物内で保管する自転車など |
火災保険の補償範囲は契約で異なる
補償範囲の表でも取り上げたように、火災保険の補償範囲は、対象物で区分すると3つに分けられます。建物のみを補償するタイプと、家財のみを補償するタイプ、建物と家財の両方を補償するタイプです。家財のみを補償するタイプについては、次の家財保険の項目で詳しく取り上げますのでそちらをご確認ください。
まず、建物のみを補償するタイプについてです。建物のみは、建物(戸建て住宅やマンションの専有部)だけでなく、建物に付属するような基本的に動かせないようなものはすべて補償の対象に含まれます。
例えば、エアコンなどの設置型の家電や建物に固定された調理台、敷地内の門や車庫などの建造物はすべて建物の補償範囲です。
火災保険の補償が適用される範囲は広く、通常は、火災や爆発のほか、落雷や風災、雪災、水災などの自然災害が対象に含まれています。契約次第では、飛来や落下による損害、水漏れ、盗難などが含まれることもあります。
家財保険の補償範囲は家財のみの火災保険と同じ
家財保険は、火災保険のうち、家財のみを補償対象にした契約のことです。
建物に付属しないような動産、例えば家具や家電、衣類、建物内で保管する自転車などが対象に含まれます。なお、動産であっても自動車は補償の範囲には含まれません。自動車を自然災害や盗難などから守りたいときは、別途自然災害や盗難補償が含まれる車両保険付きの自動車保険(任意保険)を契約する必要があります。
また、貴金属や骨とう品・絵画など価値の高い動産は基本契約では補償対象に含まれず、補償対象にするときは別途オプションの契約を求められることが多いです。
なお、補償が適用される範囲は、火災保険同様に、火災や地震を除く自然災害のほか、盗難や水漏れが対象になることがあります。
火災保険とセットで契約する地震保険については、以下の記事で詳しく説明しています。
家財保険でどこまで補償される?補償の事例を紹介
家財保険はどのような状況で補償されるのでしょうか。家財保険が適用される事例を3つ紹介します。
空き巣により自転車の盗難被害に遭ったケース
建物の中に保管している自転車のほか、玄関先やマンションの駐輪場に保管していた自転車が盗難の被害に遭ったときは、家財保険の補償の対象になります。(※ただし火災保険の契約上、補償適用範囲に盗難がないときは対象になりません。)
自転車本体だけでなく、サドルやタイヤなど自転車の部品を盗まれた場合も、契約によっては補償されることがあります。
ただし、しっかり防犯対策を取っていることが前提です。施錠をし忘れていたことにより盗難被害に遭ったときは、保管者の過失として保険金が支払われないこともあります。また、自宅以外の駅の駐輪場などでの盗難は補償の対象外です。
落雷で家電製品が壊れたケース
落雷を原因として、テレビや冷蔵庫などの家電製品が壊れることがあります。落雷により大きな電流が流れ込んでしまうことなどが故障の原因です。建物に直接雷が落ちなかった場合でも、周辺に雷が落ちることで電化製品に影響することがあります。
落雷による損害は火災保険の基本の補償範囲に含まれています。落雷によって火災が起きた場合だけでなく、過電流によってテレビやパソコンなどが故障した場合も火災保険で補償を受けられます。
ただし、保険の対象が建物のみの場合は備え付けのエアコンのような家電の損害は補償されません。
家財保険により、修理にかかる代金、または買い替えが必要なときは買い替え代金が補償されます。電化製品を分配器でつないでおり、分配器を伝って故障した場合も、基本的には家財保険の範囲で補償されます。
水漏れで家具が水浸しになったケース
給水管や排水管の破損、または水道管の劣化などによって水漏れが発生し、家具などが水浸しになることもあります。契約内容にもよりますが、水漏れによる損傷も家財保険の対象になる場合があります。
契約している家財保険で、水漏れが補償範囲に含まれていることが条件です。家財保険の基本契約では水漏れが含まれないこともありますので、水漏れの補償にも対応させたいときは、水漏れ補償が含まれる家財保険の契約をおすすめします。
家財保険が必要な人とは?
家財保険が必要かどうかは、その人の置かれている状況によって異なります。人によっては、使用している家具や家電が少ないことから家財保険は要らないと感じる人もいることでしょう。ここでは、家財保険が必要と思われるケースをいくつか紹介します。自身の状況と比較して家財保険の加入を検討してみてください。
自然災害が多いエリアに暮らしている人
雪災・風災・雹災や水災などの自然災害のリスクの高いエリアに住んでいる人は建物だけでなく、家財の補償の必要性も高めです。
例えば、次のようなケースに該当する場合は、家財保険があった方が安心感を得やすいでしょう。
・河川が氾濫したときに浸水しやすいエリアに住んでいる場合
・台風の進路になることが多いエリアに住んでいる場合
・隣の家が近く地震があったときに延焼の可能性がある場合
・住宅が密集していて飛来物により損害を受ける可能性がある場合
火災保険の補償範囲は契約者が選ぶことができ、自然災害の補償には以下のような種類があります。
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災・雹(ひょう)災・雪災
- 水災
上記のうち火災、落雷、破裂・爆発は基本的な補償のため外すことはできず、加入すれば必ず補償されます。風災・雹(ひょう)災・雪災と水災は保険会社によっては付け外しが自由な場合があり、必要に応じて付けられます。
空き巣の不安があるエリアに住んでいる人
家の立地やエリアによっては空き巣のリスクが高いところもあります。空き巣が多いとされているのが、物音がしても気づかれにくい幹線道路沿いや駅から近いエリア、人通りが少ない周囲から離れた場所にある一軒家などです。
また、空き巣が入りやすい立地の条件に当てはまらなくても、植え込みなどで覆われていて死角が多い家、共働きなどで留守の多い家などは狙われやすいとされています。
空き巣被害が多いといわれているエリアに住んでいる人や家を空けることが多い人は、家財保険を検討されることをおすすめします。
なお、一つあたり30万円を超えるような、貴金属や骨とう品などの貴重品を補償の対象にしたい場合は注意しましょう。基本契約では補償の対象に含まれないこともあります。保険会社によっては別途契約や特約の追加が必要であったり、基本契約に含まれていても支払いの上限が決まっていたりすることもありますので、契約前に確認されることをおすすめします。
小さな子どもやペットがいる人
故意による損害は家財保険の対象外となりますが、偶発的な事故などにより起きた損害は家財保険でカバーされることがあります。例えば、以下のようなケースは補償される可能性があります。
・小さな子どもが遊んでいるときにテレビを壊した
・飲み物がパソコンにかかり故障した
・子どもがおもちゃを洗濯機に入れて回したことで壊れてしまった
・ペットが雷に驚き家具を破損させた
上記のような損害を家財保険で補償を受ける場合、「汚損・破損」をカバーした契約であることが必要です。
子どもが起こした損害でなくても、故意または重大な過失などがなければ補償されることがあります。
一般的にペットが爪で引っ掻いて家具に傷が付いたような場合は、家財保険の家財保険の対象外となります。
しかし、ペットが家電を落下させて壊したケースなどでは補償の対象とする保険会社もあります。補償の対象になるかどうかは個別の事例と保険会社の判断によるところもあり、ケースバイケースです。
【家財保険で損しないために】時価額基準と再調達価格を知ろう
家財保険で補償する保険金の額を算出する方法として、時価額基準と再調達価格があります。
時価額基準による補償
時価額基準は、家財の経年劣化を考慮して、現在価値により補償額を決める方法です。時間の経過とともに価値が落ちる家具や家電は、購入時の価格よりも補償額は下がってしまいます。損害を受けて買い替えようとしても同じものを購入できない可能性があります。
再調達価格による補償
再調達価格とは、補償を受ける家財と同じものを、その時点で再度取得する場合にかかる金額をベースに補償額を決める方法です。再調達価格では家財の劣化は考慮されません。
なお、原則は時価額基準または再調達価格で金額を算出しますが、被害を受けた家財が多い場合は家財の標準的な評価額(※保険会社が設定)から保険金額を設定することもあります。
心配事が多い方はぜひ家財保険へ
家財保険は必要性の高い人とそうでない人がいます。自然災害の多いエリアに住んでいる、空き巣被害が心配など、必要性の高い人は家財保険の加入を検討されることをおすすめします。
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