投資信託とは、一言でいうと「投資家から集めた小口の資金を一つにまとめ、それをもとに運用のプロが運用を行う金融商品」です。投資信託は複数の異なる商品を組み合わせて一つのパッケージ商品にしています。例えば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」には500以上の銘柄が組み込まれています。
このような投資信託ですが、リスク分散をしながら資産運用ができることから、多くの投資初心者が投資対象に選んでいます。そこでこの記事では、これから投資信託を始めたい人に向け、投資信託の仕組みやメリット・デメリット、始め方について解説します。
この記事の監修者
新井智美
金融のプロ
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間500本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は2,500本を超える。
(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP®
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員
https://marron-financial.com/
投資信託の仕組みとは?
投資信託の運用には「販売会社」「運用会社」「受託会社」の3社が関わっています。ここでは3社の役割について解説します。
販売会社の役割
販売会社は、投資信託の販売や分配金・償還金の支払い、投資信託説明書 (交付目論見書 )の交付などを行う、投資家との窓口です。具体的には、証券会社や銀行などが販売会社にあたります。そのほか、担当者がつく対面証券会社からは、営業員から投資信託の案内を受けることもできます。
運用会社の役割
運用会社は、受託会社へ投資信託の運用指図を出す会社です。運用会社では、専門家が経済情勢や金融データなどを踏まえて投資対象の調査・分析を行い、受託会社に運用の指図を出しています。そして、指示を受けた受託会社が投資・管理を行います。なお、多くの運用会社は「○○アセットマネジメント」や「○○投信」という社名を名乗っています。
受託会社の役割
受託会社は、投資家から集めた投資資金や株式・債券などの有価証券を管理・保管する会社です。運用会社からの投資運用の指図を受け、投資・管理を行います。信託銀行または信託業務を行う銀行が受託会社に該当します。
投資信託のメリット
投資信託のメリットを4つ解説します。
- リスクが軽減される
- 専門家に運用してもらえる
- 少額からの運用が可能
- 種類が豊富である
リスクが軽減される
「リスク」=「危険度」というイメージがあるかもしれませんが、投資の世界のリスクとは不確実性を意味し、「価格の振れ幅」を指します。つまり、「リスクが高い」=「価格の振れ幅が大きい」、「リスクが低い」=「価格の振れ幅が小さい」ということです。リスクを小さく運用した方が、相対的に安定して資産を増やすことが可能です(逆に、短期的に資産を増やしたい場合は、リスクの高い商品を購入する方が有効です)。
さて、投資信託はリスク、つまり価格の振れ幅が株式(個別銘柄)と比較して低いのが一般的です。これは投資信託が複数の金融商品で構成されており、ある商品が値下がりをしたとしても、他の商品で値下がり幅をカバーできるためです。
ただし、投資信託と一言で言っても、商品によってリスクの高低は異なります。一般的に株式を多く組み入れた投資信託は(投資信託の中で)リスクが高く、逆に債券の構成割合が高い投資信託は(投資信託の中で)リスクが低いと判断できます。
とはいえ、基本的に投資信託は株式(個別銘柄)よりもリスクは低く抑えられます。そのため、とくに「ある程度のリターンは欲しいが、価格の振れ幅が大き過ぎるのも怖い」という投資初心者は、投資信託が有力な投資先候補になるでしょう。
専門家に運用してもらえる
投資で成果を上げるためには、経済・金融情勢や金融商品、政治など多様なジャンルの情報をリアルタイムに収集・分析しなければいけません。しかし、一般の個人が学校や仕事、家事・育児などをしながら情報収集するのは至難の業でしょう。
一方、投資信託では運用会社に所属する運用のプロが私たちに代わって情報の収集・分析および運用を行ってくれます。そして、私たちはその成果を享受できるのです。
ただし、運用のプロだからといって、全てを任せきりにするのではなく、投資信託を購入したあとは、定期的にリリースされているマンスリーレポート(運用レポート)などを確認し、運用状況の確認を随時行いましょう。
少額から運用が可能
投資信託は各金融機関で最低限の投資金額が決められており、基本的には最低1万円程度から少額投資が可能です。さらに、SBI証券や楽天証券などネット証券会社の中には、100円から購入できるところもあります。
100円での少額運用は、資産形成という観点ではほとんど意味はないでしょう。ただ、「投資信託の購入手続きを確かめたい」「投資信託の価格(=基準価額)の推移を肌で感じたい」というニーズがある場合は、100円からお試し感覚で投資信託を購入するのも効果的です。そして、徐々に投資に慣れてきたら、余裕資金の範囲内で少しずつ投資金額の引き上げを検討してみましょう。
種類が豊富である
投資信託の種類は非常に豊富です。一般社団法人投資信託協会が公表する「数字で見る投資信託(2023年9月13日)」によれば、2023年8月末時点での公募投信※の総合計は5,914本に上ります。
種類が豊富ということは、「自分の投資方針に合った投資信託を見つけやすい」というメリットがあるということです。
さて、種類が豊富な投資信託の分類ですが、株式を組み入れて運用できる「株式投資信託」と株式を一切組み入れず主に債券を運用する「公社債投資信託」に大別されます。また、実際に投資信託を選ぶ際には、以下のように投資対象によって分類して整理することをおすすめします。
投資対象 | 国内 | 海外 |
株式 | 国内株式型:主に日本の株式に投資 | 海外株式型:主に海外の株式に投資 |
債券 | 国内債券型:主に日本の債券に投資 | 海外債券型:主に海外の債券に投資 |
REIT(不動産投資信託) | 国内REIT:主に日本の不動産に投資 | 海外REIT:主に海外の不動産に投資 |
コモディティ | 金や原油、大豆などの貴金属やエネルギー、農作物へ投資 | |
バランス | 上記複数の資産に分散して投資を行う |
「リスクが軽減される」箇所でも述べたとおり、投資対象に株式(個別銘柄)をどれだけ含んでいるかが投資信託のリスクに大きな影響を及ぼします。国内株式型や海外株式型は、国内債券型やバランス型といった他の投資信託よりもリスクは高いと認識しておきましょう。
そのほか、投資信託は「AI関連企業を厳選して投資をする」「環境問題に積極的に関わる企業に投資を行う」など特定のテーマに基づき投資を行う、「テーマ型投資信託」もあります。
このように豊富な種類の中から、自身の投資スタイルに合った投資信託を探して購入しましょう。もし「種類が豊富過ぎて何を選べばよいのかわからない」という人は、気になる投資信託を少額で複数保有してみることから始めてみてもよいでしょう(少額から運用が可能で述べたとおり、代表的なネット証券会社では100円から投資信託へ投資可能です)。
※公募投信:証券会社や銀行などで一般の投資家へ販売している投資信託
投資信託のデメリット
続いて、投資信託のデメリットを3点解説します。
- 元本割れの可能性がある
- 短期投資には向かない
- 手数料や税金がかかり、収益が減ってしまう
メリットだけでなく、デメリットもしっかり確認しておきましょう。
元本割れの可能性がある
投資信託は投資のプロが運用する商品です。知識の少ない一般の個人が運用するより信頼性は高いと考えられますが、投資信託も価格が変動する金融商品である以上、元本割れの可能性はゼロではありません。例えば、100万円で購入した投資信託が換金時には90万円となり、元本が10万円割り込むことも考えられるのです。
では、元本割れの可能性を少しでも低くするためにはどうすればよいのでしょうか。有効な方法は以下のとおりです。
<元本割れの可能性を低くする方法> 長期期間保有する複数の投資信託を購入する一括購入せず、定時定額(積立投資)を行う |
補足ですが、元本割れの可能性があるのは株式や債券など他の金融商品も同様です。元本割れの可能性がある=価格変動があるからこそ、利益が得られる可能性が生まれるのです。
短期投資には向かない
長期保有を前提に設計されている投資信託は、株式(個別銘柄)と異なり、短期投資には向いていません。投資信託が短期投資に向かない理由は以下のとおりです。
- 売買価格がその場でわからない
- 株式よりもリスク(価格の振れ幅)が低い
- 株式よりも手数料が高い場合が多い
投資信託の売買価格は、注文を出す時点ではわからず、注文当日もしくは注文の翌営業日に決定します。したがって、わずかな価格差を積極的に取りに行く短期投資をしようと思っても「思ったよりも価格差が取れなかった」という事態にもなりかねません。
また、複数の商品で構成される投資信託は株式よりもリスク(価格の振れ幅)が低いため、短期間では一定の利益が出るような十分な値動きがない可能性があります。
そのほか、投資信託によっては手数料が高く、短期投資には向いていない商品も一定数存在します。投資信託の売買時には、購入代金に対してかかる「購入時手数料:0~3%程度」、運用管理費用の「信託報酬:年率0.1~2.5%程度」、投資信託の解約時にかかる「信託財産留保額:0.3%前後」の3種類の手数料が発生します(ただし、大手のネット証券会社は、投資信託の購入時手数料を原則無料にしているところが多いです)。手数料が高ければ、利益を得るためにそれを賄うくらいの値動きが必要であり、短期的な値動きだけでは十分な利益を確保できない可能性も考えられます。
手数料や税金がかかり、収益が減ってしまう
短期投資には向かないで詳しく解説しましたが、投資信託には以下3種類の手数料が発生します。
- 購入時手数料:0~3%程度
- 信託報酬:年率0.1~2.5%程度
- 信託財産留保額:0.3%前後
また、売却益や分配金が発生した際には、20.315%(2023年9月時点)の税金が取られてしまうため、短期的な値動きでは十分な収益を確保できない可能性があります。
ただし、手数料が発生すること、および利益に対して税金がかかるのは、他の金融商品も同様であり、投資信託だけのデメリットではありません。
手数料・税金への対策としては、購入時手数料無料の投資信託を購入するほか、NISA※口座を活用するのが有効です。
※NISA:投資信託の売却益や分配金にかかる税金が非課税になる、少額投資非課税制度
投資信託の始め方
投資信託の運用を始めるためには、証券会社や銀行などで口座を開設する必要があります。口座はオンラインもしくは店舗窓口に足を運び、開設します。
口座開設を完了したら、投資信託の選定・購入を行います。「どの投資信託を購入するか迷う(またはわからない)」場合、担当者に相談するのも有効です。
また、担当者がつかないネット証券会社で口座を開設した場合には、証券会社が発信している「投資信託人気ランキング」の上位商品を確認したり、金融庁や金融機関など信頼性の高い組織が発信している「投資信託の選び方」に関する情報を参考にしたりするとよいでしょう。
投資信託の購入後は、マンスリーレポートや運用報告書などを定期的にチェックし、モニタリングができればベストです。実際には、毎回レポートをチェックする投資家は少ないですが、とくに投資を始めたばかりの頃は、勉強の意味も込めて適宜確認してみてはいかがでしょうか。
始めるにあたり注意するべき点
投資信託を始めるにあたって注意するべき点は、「長い目で見て運用すること」です。短期投資には向かない投資信託は、数年から数十年程度の期間にわたって長期保有を行い、資産をコツコツと形成していける金融商品です。
したがって、短期的な含み損(=未確定の損失)に焦り、慌てて売却するのは得策とはいえません。もちろん、投資信託の運用に根本的な問題が生じた場合には、即座に売却を検討すべきです。そうでなければ、短期的な含み損に慌てることなく、腰を据えて長期保有することをおすすめします。
投資信託で長期投資をしよう
投資信託は100円からの少額投資が可能なほか、リスクの低減が図れる、投資初心者にもおすすめの金融商品です。一方、その商品の特性上、投資信託は短期投資には向いておらず、長期投資でその真価を発揮します。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点に立ち、投資信託で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
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