あらゆるモノの値上げが続いている昨今、国民の家計は継続的なダメージを受けています。
インフレと共に給料が増えれば何とかなるというものですが、そこに期待できないという人が大半なのではないでしょうか。
そこでファイナンシャルプランナーである筆者としては、「収入が増えないのであれば支出を減らす」ことを提案します。
そのなかでもスマホや光回線などの通信費は節約の費用対高価が高く、「安いスーパーをハシゴする」などといった節約術よりも遥かに効果的です。
本記事では通信費を節約して家計の支出を抑える方法として、以下のポイントを解説していきます。
【この記事でわかること】 ・通信費の節約による経済的メリット ・通信費の見直しを優先するべき3つの理由 ・回線別の節約ポイント ・具体的な節約の方法4つ |
家計の節約を考えるのなら、まずは通信費を見直すのが最優先事項です。
スマホに限定すると、まだ大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)を契約しているという人はぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた専門家
山田アキラ
ネット回線のプロ
小学5年生でガラケーを与えられて以来、最新端末や各社料金プランへの関心が尽きないケータイオタク。多数のメディアにおいて通信系の記事を担当。「ネット回線はコスパがすべて」をモットーとするファイナンシャルプランナー有資格者。
通信費の節約を優先するべき3つの理由
通信費にはスマホや光回線、モバイルWi-Fiルーターなどがありますが、これらは契約している限り毎月支払わなければならない固定費です。
家賃や保険など固定費にもさまざまな種類がありますが、それらを差し置いて通信費を優先するのには以下の理由があります。
- 節約額が大きい
- 生活への影響が少ない
- 初心者でも取り組みやすい
人によっては毎月1万円以上の節約に繋がることも珍しくないので、ぜひ参考にしてみてください。
1.節約額が大きい
たとえば、月々のスマホ代を約1,000円に抑えている人と月々5,000円支払っている人との出費を比べてみましょう。
支払期間 | 月額1,000円 | 月額5,000円 | 差額 |
---|---|---|---|
1年 | 12,000円 | 60,000円 | 48,000円 |
2年 | 24,000円 | 120,000円 | 96,000円 |
3年 | 36,000円 | 180,000円 | 144,000円 |
4年 | 48,000円 | 240,000円 | 192,000円 |
5年 | 60,000円 | 300,000円 | 240,000円 |
単純計算で、後者は前者よりも1ヶ月で4,000円、年間で48,000円も多く払っていることになります。
先に言っておくと、格安SIMに乗り換えれば月々のスマホ代を1,000円以内に抑えることは簡単です。
年間48,000円の差額を家族全員分、さらに何年何十年という長いスパンで考えた場合、その差は数百万円にものぼるといって過言ではありません。
また通信費は一度手続きを行えば、次月以降は手を加えることなく継続して節約できるのも魅力的です。
このように簡単かつ継続的に家計の支出を抑えられる節約術は他にないといってよいでしょう。
\ワンポイントアドバイス/ 仮に家族4人分の通信費を毎月4,000円、10年間節約できたとすると総額で480,000円になります。家計の節約において通信費の見直しは絶対に避けてはいけない項目なのです。 |
2.生活への影響が少ない
前述したとおり、スマホを大手キャリアから格安SIMへ乗り換えることで大幅な節約が期待できますが、それによる生活への悪影響は少ないといえます。
仮に今より家賃を抑えることを考えた場合、立地が悪くなったり部屋が狭くなったりと、生活レベルは下がる可能性が高いでしょう。
保険を見直して保険料を抑えるといった場合には、今よりも保障内容は薄くなり、いざというときに後悔する可能性もありますよね。
その点、スマホや光回線などは月額料金が安い他社に乗り換えても、ほとんど今までと変わらないパフォーマンスを期待できます。
詳しくは別の記事で解説しますが、回線会社を乗り換えたからといって電波が悪くなったり繋がりにくくなったりすることはありません。
今の生活レベルを維持したまま家計を節約できるのが、通信費を優先するべき理由のひとつです。
\ワンポイントアドバイス/
世の中のほとんどの節約術は「我慢」が前提といっても過言ではありません。電気代や水道代を考えてみても、快適さを犠牲に支出を抑える取り組みといえます。通信費の節約は「我慢」が不要な最強の節約術といえるでしょう。
3.初心者でも取り組みやすい
スマホや光回線などの通信サービスは「IT業界」と一括りにできますが、この業界に対するハードルを感じているユーザーは少なくありません。
あなたも「スマホのことはよくわからない」「ずっと使ってるから今のままが安心」と放置してはいませんか?
しかし、近年スマホや光回線などの乗り換えは簡略化されており、はじめての人でも簡単に手続きを行える時代になっています。
また、格安SIMであっても店舗を展開しているブランドであれば、乗り換え手続きをスタッフ任せで完了できるのです。
わからないと決めつけて高額な通信費を払い続けるのは、家計にとって大きな経済的損失だといえるでしょう。
\ワンポイントアドバイス/
総務省の働きかけでスマホ代は大幅に安くなっており、光回線やモバイルWi-Fiルーターにおいても高額な違約金は請求できなくなっています。わからないからと諦めて放置するのは、本当にもったいないことですよ。
各回線ごとの見直しポイント
ここからは以下の3種類の回線に分けて、それぞれの通信費における見直しポイントをご紹介します。
- スマホ
- 光回線
- モバイルWi-Fiルーター
「こういう人は見直したほうがいい」という特徴を紹介しているので、何をどう見直せばいいか分からない人はぜひ参考にしてみてください。
スマホ
まず、2021年に各携帯会社の料金プランが大幅に安くなったことをご存じでしょうか。
参考:https://legalsearch.jp/portal/column/the-price-of-a-cell-phone-has-become-cheaper/
2020年、政府は大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)に携帯料金の値下げを要求し、各社は2021年に新料金プランや安価なオンライン専用ブランドを立ち上げました。
これに引っ張られる形で、大手キャリアに比べて元々安かった格安SIMも、さらに安価な料金プランを提供するようになったのです。
具体的にどれくらい安くなったかというと、それまで日本の携帯料金は主要6カ国(米国・英国・フランス・ドイツ・韓国)で最も高い水準だったのに対し、最近の統計では日本が最も安いというデータが示されています。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC044J40U2A200C2000000/
そのため2020年以前から料金プランを見直していないという人は、それだけで見直してみる価値があるでしょう。
また最近料金プランを見直したという人も、大手キャリアを契約している人は注意が必要です。
株式会社MM総研の最新データによると、キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)ユーザーの平均月額料金が5,073円なのに対し、格安SIMユーザーの平均月額料金は1,961円と半額以内に収まっています。
参考:MM総研|スマートフォン利用者の月額利用料金
上記データは「キャリア」という括りのため楽天モバイルが含まれていますが、楽天モバイルは格安SIM並にリーズナブルな料金プランです。 もしも「キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)」ではなく「大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク」という括りだった場合、平均月額料金はもっと高くなるはずです。 |
このことからも、携帯料金を節約するためには大手キャリアから格安SIMへの乗り換えが不可欠だといえるでしょう。
つまり、何年も料金プランを見直していないユーザーや大手キャリアユーザーは、料金プランを見直し格安SIMへ乗り換えることで携帯料金を大幅に削減できる可能性が高いといえます。
おすすめの格安SIMや格安SIMの基本知識については別に記事で解説しているので、興味がある人はぜひ読んでみてください。
\ワンポイントアドバイス/
よくわからないまま大手キャリアの無制限プランを契約している人は少なくありませんが、スマホsユーザーの月間平均データ通信量は10GB、中央値はたったの3GBです。仮に3GBしか使わないのなら、月額700円台で高品質な格安SIMを契約できます。
光回線
光回線を契約しているご家庭は、光回線の料金プランも見直してみることをおすすめします。
携帯料金ほど節約額は大きくないものの、光回線の料金プランを見直すべき理由は以下の2つです。
- 月額料金が安くなってきているから
- 段階制料金プランの可能性があるから
従来、光回線は月額1万円ほどの高額なサービスでしたが、2015年頃から各社の基本料金はジワジワと下がってきています。
戸建プランかマンションプランかで料金は異なりますが、何年も料金プランを見直していないという人は見直してみる価値があるでしょう。
最近は戸建プランで月額5,000円を切る光回線も珍しくないので、月額6,000円以上支払っている人は節約のチャンスです。
とにかく光回線を契約しているご家庭は、一度毎月の利用料金や料金プランを確認してみることをおすすめします。
2つ目に、現在契約している光回線にキャッシュバックなどのキャンペーン目的で加入した人は注意が必要です。
光回線業界は大きなキャッシュバックや大幅な割引など、とにかく派手なキャンペーンで集客を図る風潮があります。
このようなキャンペーンは一時的にユーザーが得をするものですが、長く契約するほど他社のプランより割高になってしまう可能性が高いのです。
光回線会社側からすると、当然ながら大きなキャンペーンにかかった費用は、ユーザーの利用料金で回収しなければいけません。
そのため派手なキャンペーンを行っている光回線は、月額料金が割高である可能性が高いのです。
さらに「12ヶ月目までは〇〇円」「13〜24ヵ月目までは〇〇円」など、契約初期の月額料金を安く見せて段階的に引き上げていくパターンは多くみられます。
心当たりのある人はすぐに利用明細等を確認して、自分が毎月いくら支払っているのかチェックしましょう。
おすすめの光回線や基本知識、選び方については別に記事で解説しているので、興味がある人はぜひ読んでみてください。
\ワンポイントアドバイス/
キャッシュバックや割引が大きい光回線は魅力的ですが、長く契約するほどお得ではなくなってしまうパターンが多い印象です。そのような光回線は短期間で乗り換えできる人に向いていますが、初心者の人には月額料金が変わらない定額制プランをおすすめします。
モバイルWi-Fiルーター
モバイルWi-Fiルーターを長期間契約している人は、モバイルWi-Fiルーターの料金プランを見直してみることをおすすめします。
なぜならモバイルWi-Fiルーターも光回線と同じく、段階制料金プランの可能性があるからです。
光回線ほど大きな金額ではないですが、モバイルWi-Fiルーター業界もキャンペーンで集客を図る風潮があります。
現在の月額料金が契約初期の月額料金から大幅に増加していないか、利用明細等を確認してみましょう。
また最近は5G対応のモバイルWi-Fiルーターが登場しており、単純に数年前の機種より性能が優れています。
同じ月額料金を支払うのなら、より高速で快適なサービスを使いたいと考えるのは当然ですよね。
モバイルWi-Fiルーターや基本知識、選び方については別に記事で解説しているので、興味がある人はぜひ読んでみてください。
\ワンポイントアドバイス/
モバイルWi-Fiルーターは、光回線よりも段階制料金プランを採用している会社が多い印象です。
光回線と同じく、段階制料金プランは短期間での解約を想定している人には向いていますが、長期契約を想定している人や回線の料金プラン自体が苦手な人には不向きでしょう。
通信費を節約する具体的な方法4つ
通信費節約の重要度と見直すためのポイントがわかったところで、具体的な節約方法を以下の4つに分けて紹介していきます。
- 月額料金が安い会社に乗り換える
- 必要なデータ容量を把握する
- 不要なオプションは外す
- スマホセット割引を利用する
スマホや光回線、モバイルWi-Fiルーターとあらゆる回線に活用できるポイントなので、ぜひ参考にしてみてください。
月額料金が安い会社に乗り換える
当たり前の話ですが、今よりも月額料金が安い回線会社に乗り換えることで通信費を節約できます。
今お使いの回線会社のままオプションや通信容量などを見直すことでも節約は可能ですが、そもそもの基本料金が安い会社に乗り換えるのがもっともシンプルで効率的です。
今よりも月額料金が安い会社に乗り換えたうえで、これから紹介する節約法を実践していきましょう。
\ワンポイントアドバイス/
本記事では複数の節約法を紹介していますが、もっとも効果的なのが回線会社の乗り換えです。単純なことですが、元々の基本料金が高い会社と契約していては、いくら工夫しても節約できる金額が小さくなってしまいます。
必要なデータ容量を把握する
通信回線は契約時に通信容量を選択し、データ容量に応じた基本料金が設定されていることがほとんどです。
ということは、自分に毎月どれぐらいのデータ容量が必要なのか把握していなければ、本来料金プランを選べないはずなのです。
たしかに自分に必要なデータ容量を把握していなくても、無制限プランを契約すれば不便な思いをすることはないでしょう。
しかし、実際に使用しているデータ容量が少なければ、余ったデータ容量は捨てているのと同じなのです。
自分に必要なデータ容量を把握し、それに合ったプランを選択することが通信料を節約するための近道だといえます。
「無制限が必要で無制限プランにする」のと「よく分からないから無制限プランにする」のとでは全く意味が異なりますよ。
まずは契約している回線のマイページ等から、自分が毎月どれだけのデータを消費しているか確認してみましょう。
\ワンポイントアドバイス/
たとえば格安SIMはデータ容量ごとにプランが分けられていますが、その分け方は回線会社によって全く違います。そのため自分に必要なデータ容量を把握していなければ、プランはおろか回線会社さえ決められないのです。
不要なオプションは外す
通信回線を契約する際には「ウイルスセキュリティサービス」や「端末補償サービス」、「訪問サポートサービス」などさまざまなオプションが用意されています。
通信回線に不慣れな人ほどあれもこれもと付けてしまいがちですが、実は本当に必要なオプションはごく僅かです。
たとえば以下のようなオプションはFP目線で言わせてもらうと、全て不要です。
- ウイルスセキュリティサービス
- 端末補償サービス
- 訪問サポートサービス
- オンラインストレージサービス
「ウイルスセキュリティサービス」に関しては家電量販店で専用ソフトを購入するほうが安く、保険の役割を持つ「端末補償」はメーカーや販売店の補償で十分です。
「訪問サポートサービス」は利用する場面が非常に少なく、「オンラインストレージサービス」は必要性を感じた場合に加入すればよいでしょう。
もちろん必要なオプションは人それぞれですが、そのオプションが本当に必要かもう一度検討してみてください。
まずは自分がどのようなオプションに加入しているのか、利用明細を見て確認しましょう。
\ワンポイントアドバイス/
通信回線のなかには“初月のみ加入必須のオプション”が設定されている場合があり、「不要であれば来月以降に外してください」という常套句がセットです。これは明らかに外し忘れを狙っているので、利用明細を確認し外し忘れているオプションがあれば今すぐに外しましょう。
スマホセット割引を利用する
スマホと光回線・モバイルWi-Fiルーターなどのブランドを揃えることで、セット割引が適用されスマホ料金が安くなります。
このスマホセット割引は、以下のように大手キャリアで受けられるというイメージが強いのではないでしょうか。
スマホ | 光回線 |
ドコモ | ドコモ光 |
ソフトバンク | ソフトバンク光 |
au | auひかり |
たしかに、一昔前までスマホセット割引は大手キャリアを中心としたサービスでしたが、最近は以下のような格安SIMでも提供されています。
スマホ | 光回線 |
IIjmio | IIJmioひかり |
NUROモバイル | NURO光 |
BIGLOBEモバイル | ビッグローブ光 |
スマホセット割引を受けるために大手キャリアに留まる必要はないので、光回線とスマホをまとめて乗り換えるのも効果的ですよ。
\ワンポイントアドバイス/
無理にスマホセット割引を狙う必要はなく、安い格安SIMと安い光回線などをそれぞれ契約すれば十分といえます。良くないのはスマホセット割に執着することで、セット割を優先するあまり基本料金が割高な回線会社や料金プランを選択してしまっては本末転倒ですよ。
まとめ
今回は、通信費の節約を優先すべき理由や節約の具体的な方法を紹介してきました。
通信費は家族構成次第で非常に大きな金額になるため、見直すタイミングは早いに越したことはありません。
以下のような特徴に当てはまる人は、ぜひスマホや光回線、モバイルWi-Fiルーターなどの通信費を見直してみましょう。
・大手キャリアを契約している(ドコモ、au、ソフトバンク) ・月々の携帯料金が5,000円以上 ・光回線の契約時に大きなキャッシュバックを受けた ・モバイルWi-Fiルーターの契約直後は月額料金が安かった ・3年以上通信費を見直していない |
通信費の見直しで節約できる金額は本当に大きいので、この機会にぜひ見直してみてはいかがでしょうか。