近年、普段の買い物やスキマ時間で気軽にポイントを貯められるポイ活が人気です。しかし、稼いだポイントが課税されるのかどうかが気になり、始められていない人もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、ポイ活が課税対象になるか否かの判断基準や課税対象となる金額の求め方、確定申告のやり方と注意点などを解説していきます。初めてポイ活や確定申告に取り組む人にもわかりやすく説明するので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
ポイ活で稼いだら確定申告は必要?
ポイ活で得たポイントは、一部の場合を除き確定申告が必要です。
課税されるかどうかは、ポイントを得る方法で変わります。ポイ活でポイントが付与される条件は、おもに以下3つに分類されます。
- クレジットカードの決済ポイント・利用額に応じてショップカードにたまるポイント
- ポイントサイトでミッションをクリアする・アンケート回答をするなどで得たポイント
- ポイント付与キャンペーンに当選するなどでもらったポイント
この分類では、普段の支出に対して付与されるポイントは値引きと同じ扱いと解釈され、原則として課税対象となりません。②のように一種の労働と引き換えに得たポイントは雑所得、③のように臨時・偶発的に取得したポイントは一時所得に分類されます。
ただし①の場合も、ポイントを医薬品購入時の値引きに使うなど、所得控除の対象となる支出の一部としてポイントを使った場合は、使ったポイントが一時所得とみなされることがあるので注意が必要です。
稼いだポイントが課税対象になるのはいくらから?
課税対象となるのは、先ほど②③で挙げた2つの場合です。
- ポイントサイトでのミッションクリア・アンケート回答や、アフィリエイトで稼いだポイント(雑所得)
- ポイント付与キャンペーンに当選するなど、臨時・偶発的に稼いだポイント(一時所得)
それぞれが一定額を超えた場合、課税対象となります。以下で詳しく説明していきます。
雑所得になる場合
ポイ活で得たポイントが雑所得になるのは、何らかの労働と引き換えにポイントを得ている場合です。雑所得とは、公的年金や副業などで得た所得の総称なので、ポイ活以外の雑所得と合算されることに注意してください。
課税・非課税の分かれ目は以下のようにして決まります。
【給与所得者の場合】
雑所得の合計から必要経費を引いた後の額が20万円を超えている場合、確定申告が必要です。税額については、給与所得など他の所得と合計した後で計算されます。
【非給与所得者の場合】
雑所得の合計から必要経費を引いた後の額が48万円(令和5年時点での基礎控除の額)を超えている場合、確定申告が必要です。
雑所得になるのは、労働の対価としてポイントを得た場合であり、ポイントサイトにおいては以下のような活動が当てはまります。
- ミッションクリア
- アンケート回答
- 動画視聴
- アフィリエイト
一時所得になる場合
ポイ活で得たポイントが一時所得になるのは、懸賞や福引きに当選してポイントを得た場合などが当てはまります。
そもそも一時所得とは、以下の3パターンの所得を除いた一時的な所得だと定められています。
- 営利を目的とする継続的な行為から生じた所得
- 労務や役務の対価である所得
- 資産の譲渡による所得
そのため、懸賞や福引きのほか、法人から贈与された金品なども当てはまります。これらを合算したのが一時所得です。
課税・非課税の分岐点は以下のようにして決まります。
【給与所得者の場合】
一時所得の合計額が90万円を超えると確定申告が必要です。このとき、課税対象となる金額は次の計算式で求めます。
課税対象となる金額=(一時所得-必要経費-特別控除額50万円)×0.5 |
たとえば一時所得が90万円で必要経費が0円の場合、課税対象となる金額は20万円となります。この金額を給与所得など他の所得と合計した後で、税額の計算がなされます。
【非給与所得者の場合】
一時所得から必要経費を引いた額が146万円を超えると課税対象になります。
その仕組みは以下の通りです。
- まず給与所得者と同様にして「課税対象となる金額」を求める
- そこから48万円(令和5年時点での基礎控除の額)を引く
これらによって残った金額に対して、税額が計算されます。仮に、一時所得から必要経費を引いた額が146万円の場合は、1で求めた「課税対象となる金額」は(146万円-50万円)×0.5=48万円となり、2で基礎控除を引くと0円になるため、ぎりぎり課税されないというわけです。
ポイ活で確定申告が必要になったときのやり方
ポイ活で確定申告が必要になったときのやり方について、順を追って説明します。初めてだと少しハードルを感じるかもしれませんが、順番にこなしていくだけで完了するので、一つずつ押さえていきましょう。
1.必要書類を準備する
確定申告の入力をする前に、まず以下4点の必要書類を準備しましょう。
- 源泉徴収票(会社で交付される)
- 各種控除証明書
- 確定申告書(確定申告書等作成コーナーやe-Taxを利用する場合、紙は不要)
- マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カードと運転免許証など)
源泉徴収票は、年末調整のあとに勤め先の会社でもらえます。待っていてももらえないようなら、会社に問い合わせましょう。源泉徴収票の発行は法律で決められた会社の義務であるため、すぐに発行してもらえるでしょう。源泉徴収票に書かれている内容を確定申告書に転記します。
各種控除証明書は、生命保険料控除や地震保険料控除を申請するために必要なもので、10〜11月ごろになると保険会社などから送られてくるものです。
確定申告書を手書きで記入したいのであれば、国税局のサイトからダウンロードして印刷する必要があります。もしくは、税務署の窓口でももらえますよ。ただし、紙に書く場合は記入場所や計算もすべて手動でする必要があり「どこに何を書けばいいのか?」と迷いやすいです。それよりもインターネット上で作成できる確定申告書作成コーナーやe-Taxを利用する方が簡単に作成できるので、ぜひ利用してみてください。
マイナンバーカードまたは通知カード、運転免許証などは、個人番号と身元確認のために必要です。なお、マイナンバーカードを持っていれば運転免許証等は不要です。
2.確定申告書を作成する
次に確定申告書に必要事項を記入していきます。
インターネット上で作成できる方法のうち、e-Taxは事前準備が色々と必要なので、初めて確定申告をするなら確定申告書作成コーナーを利用するのが無難です。「コーナー」という名前ですが、物理的な場所ではなく国税庁のサイトのことを指しています。
以下の順番で、必要なところだけ埋めていけば確定申告書が完成します。
- 作成開始
- 印刷して提出
- ○○年分の申告書等の作成
- 所得税
なお、初めてで不安な場合は、確定申告の時期になると税務署に設けられる「申告相談会場」という場で相談するのがおすすめです。無料で疑問を解消できるので、ぜひ活用してみてください。
3.確定申告書を提出する
e-Taxの場合はオンラインですべて完結するので、提出時に「送信」というボタンを押せば完了です。
確定申告書作成コーナーを利用した場合は、入力完了後に確定申告書を印刷し、郵送または税務署の窓口に持参することで提出完了となります。
なお、郵送するときは以下の手順を参考に進めてください。
- 角形2号封筒の表に宛名(所轄税務署)を書く
- さらに「所得税確定申告書在中」と赤字で書いて赤枠で囲む
- 返信用封筒に自分の住所を書き、切手を貼り、同封する
- 確定申告書を同封する
- 各種控除証明書を同封する
- マイナンバーカードの写し、または通知カードの写しと運転免許証などの写しを同封する
- 切手を貼ってポストに投函、または郵便局の窓口で発送する
ただし、下記のような注意点が3つあります。
- 提出〆切は3月15日で、郵送の場合は当日消印有効
- 切手の金額は重さによって違うため、不安なら郵便局の窓口で量ってもらう
- 普通郵便(簡易書留などのオプションは可)またはレターパックライトで送る
提出期限ギリギリにならないように、早めに準備を進めましょう。
4.税金を納付する
確定申告書を提出したあとは、3月15日(土日祝の場合は翌平日)までに納付手続きをすませましょう。
納付方法は以下の通りです。
- QRコードによるコンビニでの納付(納税額30万円以下の場合)
- 金融機関や税務署の窓口で現金払い
- 金融機関からの振替(事前に申請する必要あり)
- 電子納税(e-Taxのみ)
- クレジットカード払い(専用サイトを利用)
初めての場合はQRコードによるコンビニでの納付、または金融機関や税務署の窓口での納付がわかりやすくておすすめです。
なお、国税局から納付書などが届くわけではなく、確定申告書を提出するのと並行して自ら納付をしなければならないことに注意しましょう。
ポイ活で確定申告するときの注意点
ポイ活で確定申告するときは、注意点が3つあります。順に確認していきましょう。
ポイント数を整理しておく
複数のポイントサイトでポイントを得ている場合、確定申告の際にはそれらをすべて合算するので、日常的に雑所得と一時所得に分けて整理しておくことをおすすめします。
ポイントサイトの中にはポイント履歴を半年分程度しか見られないサイトもあるので、1年分をまとめて整理しようとしても不可能になることが想定されるためです。
また、申告の間際になって複数のポイントサイトの履歴を見ると、あわててしまってミスをしたり、記録の間違いに気づけなかったりすることも考えられます。
以上のことから、ポイント数の整理は1年分まとめてではなく、定期的に進めておくことが大切です。
ポイ活以外にも副収入がある場合は合算する
ポイ活以外にも、一時所得や雑所得に当てはまる副収入があれば合算する必要があります。一時所得や雑所得という区分は、所得を得た方法ごとに申告するのではなく、まとめて「一時所得」「雑所得」として申告するルールであるためです。
たとえば給与所得者の雑所得は20万円以下なら確定申告不要となっています。これは「ポイ活での雑所得が20万円以下」という意味ではなく、「すべての雑所得を合計した額が20万円以下」という意味なので注意しましょう。
もし合算を怠って税務調査が入ると、無申告加算税や延滞税といった厳しいペナルティが科されるおそれがあります。
勤務先に副業だとみなされる可能性がある
ポイ活は、原則的に副業とはみなされません。
厚生労働省が公表している「モデル就業規則 令和4年版」の第14章には、「副業・兼業」について以下のような形態が想定されています。
- 他の会社等に雇用される形での副業・兼業
- 事業主となって行うもの
- 請負・委託・準委任契約により行うもの
一般的なポイ活は、他の会社に雇用されることもなく、事業主になることもなく、請負契約なども存在しないことから、そもそも副業には当てはまらないと考えるのが自然です。ただし、所得が高額になると副業とみなされる場合もあるでしょう。これはケースバイケースで、勤務先の会社の判断に委ねられます。
副業禁止の会社でポイ活が副業とみなされてしまった場合は、会社からペナルティを受けるおそれがあります。口頭での注意や始末書、あるいは給与の減額や人事考査に響くなどといったことが考えられるでしょう。
会社に副業がバレるのは、確定申告によって住民税が高くなったことを会社に気づかれるからです。会社は従業員の住民税の額を、自社の給与をもとにして算出できます。市区町村から送られてきた金額がそれよりも高いとバレてしまうというわけです。
とはいえ、これは確定申告の際に「住民税は自分で納めます」という意味の「普通徴収」を選んでいなかった場合です。「自分で納付」に丸をつけていれば、会社に届く通知書には反映されないので、覚えておいてください。
副業禁止規程の厳しい公務員がポイ活をするための注意点については、以下の記事にまとめています。ぜひ参考にしてください。
ポイ活で確定申告しないとどうなる?
ポイ活で課税されるほどの所得を得ていながら確定申告しないのは、脱税です。このことが税務署に知れると、無申告加算税や延滞税というペナルティが科されます。
無申告加算税には何段階かあり、税務調査が入ってしまうと「納付すべき税額の50万円以下の部分に対しては15%、50万円を超える部分には20%の額」という大きな額を支払うことになります。
高額のポイントを得た年には、くれぐれも確定申告を忘れないようにしましょう。
ポイ活するならポイントサイトを利用するのがおすすめ!
この記事では、ポイ活が課税対象になるかならないかの線引き、雑所得と一時所得の違い、確定申告のやり方や注意点について説明してきました。お小遣い稼ぎ程度のポイ活の場合なら確定申告は不要ですが、年間20万円など、所定の金額を超えるほどのポイ活をする場合には確定申告の必要があります。そのときになってあわてないよう、この記事を参考にして準備を進めてください。
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