区分マンション投資は割に合わない?成功のポイントを解説します

管理の手間が少なく、少額の自己資金で始められる区分マンション投資に注目している人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、区分マンション投資の概要をはじめ、メリットやデメリット、成功させるためのコツについてご紹介します。

この記事の監修者

キムラミキ

不動産投資のプロ

ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント 日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、 FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、 中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、 山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
http://www.laugh-dessin.com/

区分マンションとは

区分マンションとは、区分所有建物に分類されるマンションです。また、「区分所有建物」とは構造上区分され、独立して住宅などの用途に供される、複数の戸数がある建物を指します。

区分マンションと分譲マンション、一棟マンションとの違いについて解説します。

分譲マンションとの違い

区分マンションと分譲マンションはほぼ同義であり、多くの場合、場面に応じて使い分けられているようです。

・分譲マンション:「住まいとして」マンションを探している場面で用いられる
・区分マンション:「投資物件として」マンションを探している場面で用いられる

区分マンションも、マンションの部屋を居住用に分割、譲渡しているといった意味で「分譲マンション」と同じではないかと考える人も多いかも知れません。しかし、「区分マンション」はあくまでも投資家目線の言い方である点に違いがあるといえます。

一棟マンションとの違い

区分マンションは一室単位の物件、一棟マンションはマンションそのもの、全戸が賃貸マンションとなっている物件のことです。土地と建物を合わせて、マンション一棟を購入する投資スタイルを「一棟マンション投資」といいます。

一棟マンション投資の詳細については、以下の記事をご参照ください。

一棟投資を成功させるために知っておきたい基礎知識を徹底解説

2023.10.26

区分マンション投資のメリット

区分マンション投資のメリットを6つ、ご紹介します。

一棟マンションと比べて投資リスクが低い
リスク分散が可能
空室リスクが低く立地のよい部屋に投資可能
管理の手間が少ない
高く売却しやすい
生命保険の代わりとしても役立つ

一棟マンションと比べて投資リスクが低い

区分マンション投資は一棟マンション投資と比較して投資金額を抑えられるため、失敗するリスクが低いといえます。不動産投資ローンを組む場合でも、元々の借入金額が少なければそれだけ返済期間が短くなりますし、金利上昇リスクの影響も少なく済むでしょう。

また、一棟マンション投資の場合、初期費用として相応の自己資金が必要となるのに対し、区分マンションであれば比較的少額の資金で投資を始めることができるのも魅力のひとつです。

リスク分散が可能

立地条件やターゲットの異なる区分マンションの部屋を複数所有することで、分散投資が可能です。

性質の違う部屋を複数保有すると、市場に変化が起きた際のリスク回避に役立ちますし、空室対策にもつながります。

空室リスクが低く立地のよい部屋に投資可能

区分マンション投資は、一定のニーズがある好立地・好条件のマンションの部屋を少額の自己資金で取得しやすいといえます。人気のあるエリアであれば入居者が決まりやすいでしょう。

一棟マンションでそのような物件を購入しようとすると多額の資金が必要となりますが、区分マンションであればある程度価格が抑えられるため、投資不動産を選ぶ際のハードルが低くなります。狙いをつけた物件に投資しやすいのは区分マンション投資ならではの特徴です。

管理の手間が少ない

区分マンションは管理の手間があまりかからないのもメリットです。

区分マンションには一般的に管理組合があり、所有者は管理組合に対して一定の管理費と修繕積立金を支払います。管理組合はそれらの積立金をもとに共用部分の大規模修繕などの管理を行うため、投資家が自ら管理しなければならないのは室内に限られます。本業が忙しく、自分ですべてを管理することが難しい会社員などにとっても、区分マンション投資は適しているといえるでしょう。

高く売却しやすい

区分マンションは流動性が高く、比較的高値で売却しやすいといえます。また、区分マンションの流通市場は大きく、取り扱っている会社やサイト数が多いことから、売買の機会も豊富です。一棟マンションに比べて買い手が見つかりやすいのも区分マンションのメリットといえます。

生命保険の代わりとしても役立つ

不動産投資は生命保険の代わりとしても役立ちます。その理由として、不動産投資ローンを締結するにあたって、「団体信用生命保険(以下、団信)」に加入しなければならない点が挙げられます。

団信とは、債務者が死亡または高度障害状態となり返済が不可能となった場合に、ローン残高がゼロになる保険のことです。残された家族はローンの返済負担を負うことなく、そのまま物件を所有できます。つまり、生命保険でいう「死亡保険金」の代わりに不動産収入が発生する資産を残せるといえるでしょう。

区分マンション投資のデメリット

区分マンション投資にはさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

低利回りの物件がある
共用部分の管理や運営が自由にできない
空室のリスクがある
提携金融機関の方針によっては融資が下りづらい

低利回りの物件がある

区分マンション投資は、一棟マンション投資と比較して低利回りになりやすい傾向にあります。その理由として、区分マンション投資では管理組合に対して「管理費」や「修繕積立金」を支払わなければならない点が挙げられます。家賃収入からこれらの費用を差し引いても十分に利益を得られるか、経費率などを慎重に確認することが大切です。

共用部分の管理や運営が自由にできない

区分マンションは共用部分の管理や運営を自由に行うことができません。

たとえば、汚れが目立つため外壁塗装工事を実施したいと思っても、他の部屋のオーナーのうち相当割合の同意が得られなければ工事を実施することはできません。一棟マンション投資と比較して手軽に始められる一方で、自分の思うような管理ができない制約があることを理解しておく必要があります。

空室のリスクがある

区分マンションを1室だけ保有している場合、空室になってしまうと家賃収入がゼロになってしまいます。こうした事態を完全に回避することはできませんが、空室リスクを極力抑えられる物件選びを心がけることが大切です。

提携金融機関の方針によっては融資が下りづらい

金融機関によって、不動産投資ローンを貸し付ける際の審査で重視するポイントは異なります。その中でも、融資を実施する物件に収益性があるかどうか、「精算評価(担保評価)」が重視される場合には注意が必要です。

区分マンションでは一棟マンションと異なり、土地は共有持分として購入することから、概ね購入した部屋の価値のみで融資に値するか否かが判断されます。そのため、土地の価値を物件の価値の一部として判断する一棟マンション投資とは異なり、担保としての価値が下がり、融資が下りづらくなる場合があります。

もちろん、すべての金融機関が精算評価を重視しているわけではなく、中には「収益還元評価」を重視しているケースも見受けられます。収益還元評価であれば満室時の家賃収入や周辺物件と比較した際の利回り等が判断材料となることから、区分マンションであっても融資が下りる可能性は高いでしょう。

物件を購入する際は、投資不動産販売会社と提携している金融機関がどういった方針で融資を行っているか、忘れずに確認することをおすすめします。

区分マンション投資の成功率を上げるポイントや注意点

区分マンション投資のメリットおよびデメリットについて紹介してきましたが、ここでは区分マンション投資の成功率を上げるポイントや注意点をご紹介します。

借入金を少なくする

区分マンション投資は全額自己資金で行うのが理想です。仮に不動産投資ローンを利用する場合でも、借入金額を最小限にし、土地価格分も含めたローンは組まないようにしましょう。一棟マンション投資に比べ、区分マンション投資では家賃収入から土地価格分の借入金を返済することが難しく、土地代を含めてローンを組むと手元にほとんど残らなくなる可能性があります。

そのため、不動産投資ローンを組む際は借入金額に気を配ることが大切です。あらかじめ物件価格の建物価格と土地価格の内訳を確認しておきましょう。土地価格分も含めたローンを避けるための借入金割合の目安は、物件価格の30-40%程度です。

立地のよい物件を選ぶ

不動産投資は立地のよさが成功を左右するといっても過言ではありません。駅チカであることはもちろん、周辺環境が整っているか、周囲に競合となりうる物件がどのくらいあるかなど、さまざまな観点から物件を見極めることが大切です。

中古物件を選ぶ

中古の区分マンションを選ぶのもひとつの手です。特に都心部のマンションには「ワンルーム条例」といった建築制限が設けられていることが多く、条例によって最低住戸面積が25平米以上となるように定められています。都心部で広さが25平米以上となれば当然家賃もそれ相応の金額となり、安くて手頃な物件を探している入居者からは敬遠されてしまうでしょう。

一方、中古物件の中にはワンルーム条例が施行される前に建てられたものもあり、20平米前後の物件も見受けられます。そのような物件であれば家賃が抑えられ、ある程度高い需要が見込めるでしょう。新築や築浅にこだわりがないのであれば、中古物件を探してみるのもひとつの手です。

都心部を選ぶ

区分マンションを選ぶ際は、人が集まりやすい都心部に位置している物件をおすすめします。区分マンションの多くは単身の社会人や上京してきた学生をターゲットとしているため、交通利便性の高い都心部の方が、需要が見込めるでしょう。

また、都心部の物件を購入した方が、将来売却することになっても買い手が見つかりやすいといえます。

アドバイスや助言をくれる不動産会社を選ぶ

区分マンションの購入にあたっては、不動産投資を専門としている不動産会社を選ぶことをおすすめします。それまでに培ってきたノウハウや経験が豊富であることはもちろん、売買に関するさまざまな情報が集まってくることから、よい物件が見つかりやすいでしょう。

また、親身になって相談に乗ってくれるか、アドバイスは適切かといった観点から不動産会社をしっかりとチェックすることをおすすめします。

区分マンション投資の流れ

区分マンション投資を始めるまでの流れは、以下の通りです。

1. 情報収集をする物件を探す
2. 物件購入の申込みをする
3. ローンの仮審査を受ける
4. 売買契約を締結する
5. 本審査通過後、金銭消費貸借契約を締結する
6. 残金の決済および物件の引き渡しを行う

1.情報収集をする

まずは、区分マンション投資を行うための情報収集をする必要があります。需要があるエリアや周辺環境、家賃相場などを確認した上で、購入価格の相場観をもちましょう。

不動産会社についてもリサーチが必要です。オーナーや金融機関などと親しくなることで、おすすめの不動産会社を教えてもらえる可能性が高まります。また、不動産投資に関するセミナーや勉強会も多く実施されているため、一度足を運んでみるのもよいでしょう。

2.物件を探す

一通りの情報が集まったら、いよいよ物件探しです。物件を探す際は不動産投資専用サイトを活用するほか、広告や情報誌なども役立つでしょう。また、先にも述べたように、区分マンション投資では穴場の中古物件も存在します。最初から新築・中古のいずれかに絞るのではなく、複数の不動産会社に問い合わせて、幅広い選択肢の中から物件を探し始めるとよいでしょう。

3.物件購入の申込みをする

気に入った物件が見つかったら、想定される家賃収入や経費をもとに資金計画を立てましょう。

無理のない資金計画を立てた上で、購入の申込みをします。物件を買い付ける際は不動産会社に「買付証明書」を提出する必要がありますが、提出したからといって必ずしも購入できるわけではない点に注意しましょう。誰に売るのか、最終的な決定権は売主にあり、物件が購入できるまで安心はできません。

4.ローンの仮審査を受ける

区分マンション投資は全額自己資金で始められるのは理想ですが、不動産投資ローンを利用する人も多いでしょう。とはいえ、本審査は売買契約後でなければ締結することができないため、まずはローンを組めるか否かを仮審査で確認することになります。

なお、不動産投資ローンの仮審査にはいくつかの書類が必要となるため、申込先の金融機関で前もって確認しておくとよいでしょう。

5.売買契約を締結する

不動産の売買にあたって重要事項説明を受けたら、売主との間で売買契約を締結します。この時点ではまだ所有権の譲渡はなされないため、買主は売主に対して手付金(売買価格の10%前後)を支払います。

また、売買契約時は「融資特約」が契約事項の中に含まれているかどうかを確認しましょう。融資特約とは、金融機関から融資を受けられなかった際に契約を白紙とする特約のことで、この特約がなければ、仮にローンの審査に通らず契約が白紙になったとしても、手付金を返してもらうことができなくなってしまいます。

6.本審査通過後、金銭消費貸借契約を結ぶ

売買契約と同じタイミングで、ローン借入先の金融機関に対して本審査の申込みを行うことになります。本審査では、仮審査に加えていくつかの書類が必要となるケースが多いため、仮審査の時点であわせて確認しておくとよいでしょう。

本審査に通過したら「金銭消費貸借契約」を締結します。また、団信の加入や抵当権設定契約もあわせて行います。

7.残金の決済および物件の引き渡しを行う

金銭消費貸借契約を締結したら、残金の決済と物件の引き渡しを行います。この時点で売主から所有権の移転に必要な書類を受け取れるため、登記手続きも速やかに済ませましょう。

区分マンション投資の出口戦略

区分マンション投資の出口戦略として不動産売却を考える上で大切なポイントを2つご紹介します。

キャピタルゲインを意識する

キャピタルゲインとは、購入価格よりも売却価格の方が高い場合の売買差益のことです。立地や管理・運用次第でキャピタルゲインを得られる可能性があります。

区分マンションにおいては築浅の方が売れやすい傾向にあります。また、周辺環境が大きく変わりそうな出来事(大型店の誘致やベッドタウンの開発など)が予定されている場合には、動向をよく見ておくことをおすすめします。

所有期間5年で税率が変わることに注意する

不動産の売却時は5年を境として税率が変わることに注意が必要です。具体的には、物件の所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得として39.63%の税金が課されてしまいます。(5年超は長期譲渡所得となり、20.315%となる)

そのため、出口戦略を考えるにあたり、5年を超えた時点をひとつの目安とするとよいでしょう。

区分マンション投資に向いている人

これまでの内容を踏まえ、区分マンション投資に向いている人の特徴は以下の通りです。

・本業が忙しい人
・少ない自己資金で始めたい人
・売却のしやすさを重視したい人

本業が忙しい人

区分マンション投資は入居者や物件を管理する手間がないことから、本業が忙しい人におすすめです。また、会社員などの場合、一定の収入があるため、区分マンションであればローン審査が通りやすい点もメリットといえます。

少ない自己資金で始めたい人

区分マンション投資はローンを活用し、少ない自己資金でも始められます。老後の生活に向けて資産形成を早く始めたいものの、自己資金には限りがあるという不安を感じている人にとって、区分マンションは適した投資商品です。また、先にご説明した通り、生命保険の代わりにもなるため、生命保険の保険料の節約にもつながります。

売却のしやすさを重視したい人

一棟マンションと比較し、区分マンションは流動性の高さが魅力です。そのため、不動産投資において将来の売却のしやすさを重視する人にとって、区分マンション投資は適しているでしょう。

自分だけで判断が難しい場合はプロに相談しよう

区分マンション投資は一棟マンション投資と異なり、少ない自己資金で始められ、管理の手間が省けることから人気を集めています。しかし一方で、共用部分の管理や運営が自由にできないことや、低利回りの物件がある点に注意が必要です。

不動産投資では物件の見極めが重要であり、見極めを誤ると損失を被る恐れがあります。自身で投資判断を下すことが難しい場合、信頼の置ける不動産会社などプロの意見を参考にするのもよいでしょう。

また不動産会社に相談する際など、いつもの様々なサービス利用をポイントタウン経由にするだけでポイントが貯まります。取得ポイントは1ポイント=1円分のお好きなサービスに交換できるので、お得に不動産投資を始めることができます。

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2022.11.21

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この記事を書いた人

織瀬ゆり

元信託銀行員。AFP・2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。 それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。 2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。

https://www.mama-hana.com/
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