火災や自然災害はいつ発生してもおかしくないものです。火災保険に加入することによってどのくらいのリスクを軽減できるものなのでしょうか。マンションの保有タイプ別の火災保険の「必要性」と「選び方」を解説します。
この記事の監修者
松田聡子
保険のプロ
明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。
企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、
金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP®・
DCアドバイザー・証券外務員2種
https://gunmaf.net/gunmafp/
火災はどのくらいの確率で起こる?
消防庁の「令和4年(1月~12月)における火災の概要 消防統計(火災統計)」によると、令和4年の総出火件数は36,375件で、14分に1回の割合で火災が発生していることがわかりました。中でも多いのが建物火災で20,185件です。建物火災では、こんろ、たばこ、電気機器などが出火の主な原因として挙げられています。
なお、人口1万人あたりの出火件数をもとに計算された出火率は全国平均で2.89%でした。3%近くにも上る出火率をみると、火災はそこまで珍しくない確率で発生していると考えることができます。
火災保険未加入の場合の損失
火災発生はもはや他人事とはいえません。また、火災について取り上げましたが、火災以外の自然災害などで建物が損害を受けるリスクもあります。
火災保険は、火災以外にも、台風や竜巻などの風災、豪雨や洪水による水災、雪災などの自然災害なども広くカバーする保険です。火災保険に加入していない場合、火災による建物や家財の損害はもちろん、火災以外の自然災害による損害についても補償を受けることができません。
災害が原因で建物や家財に被害があっても補償がないということは、損害部分の修繕費用や、全損や焼失した場合の再建築などにかかる費用を、すべて自己負担しなければならないということです。また、災害で被害を受けても住宅ローンの返済は免除されないため、住宅のローンの返済も引き続き発生することになります。
さらに、失火責任法により寝たばこなどは重大な過失と認定され、損害賠償責任が生じる可能性もあります。損害賠償責任が問われると、多額の賠償金の支払いを一生続けなければならないかもしれません。火災保険に加入しないことで、取り返しのつかないダメージを受けるおそれがあると知っておきましょう。
【マンションのタイプ別】火災保険の必要性
マンションでも火災保険は必要なのでしょうか?投資用マンション、分譲マンション、賃貸マンションというタイプ別に火災保険の必要性を説明します。
投資用マンションでの火災保険の必要性
投資用マンションのオーナーは所有する物件を対象とした、火災保険への加入が必要です。
自分が所有する物件が火災やその他の自然災害で損害を受けた場合、修繕に数百万円の費用がかかったり、物件を賃貸に供することができなくなったりするおそれがあるためです。
また、マンション投資に金融機関の融資を受ける場合、火災保険の加入が条件となります。火災や自然災害で担保となる物件が滅失した場合の、貸し倒れリスクを回避する目的です。
分譲マンションでの火災保険の必要性
投資用マンションと同様、分譲マンションも購入時に住宅ローンを利用するのであれば、火災保険への加入はほぼ必須です。ほとんどの金融機関で、火災保険加入を融資の条件としているためです。
住宅ローンを利用しない場合、火災保険加入の義務はありません。しかし、火災や自然災害での経済的ダメージに備えて、火災保険に加入するほうが安心です。
マンションの区画には、所有者個人の区画である専有部と居住者が共同で利用する共用部があります。まずは共有部分について、マンションの管理組合が一括で補償する保険に加入しているかの確認が必要です。
管理組合が共用部分を一括で補償する火災保険に加入している場合は、専有部分についてのみの火災保険に加入します。
管理組合が共用部分の火災保険に加入していない場合、専有部分と共用部分の持ち分割合について火災保険に加入します。
分譲マンションでの火災保険の必要性や加入しないリスクついては、
以下の記事をご参照ください。
賃貸マンションでの火災保険の必要性
賃貸マンションの賃借人(借り主)は、マンションの直接の所有者ではないものの原状回復義務を負っています。失火責任法により、重大な過失でなければ賃借人の損害賠償は免れますが、原状回復義務は果たさなければなりません。
原状回復義務とは、通常の範囲の損耗や経年劣化を除き、賃借人の故意や過失による損耗や毀損を、損耗などが起きる前の状態に復旧させる義務のことです。したがって、賃借人が火事を起こした場合などは、賃借人が損害部分を修繕する義務が発生することになります。
賃貸物件における損害については、賃借人が加入する火災保険の借家人賠償責任でカバーできるため、賃貸マンションの場合も火災保険に加入するのが無難です。
なお、賃借人が加入する火災保険には家財保険が含まれるのが一般的で、加入することで災害や盗難などで家財に損害があったときの補償も受けられるようになります。
火災保険の選び方のポイント4つ
火災保険を選ぶときはどこに注目するべきか、選び方の4つのポイントを取り上げます。
希望する補償がカバーされているか
火災保険は、火災による損害のほかにも、落雷、破裂や爆発、風災、ひょう災、雪災、水災のような自然災害による損害、外部からの飛来や衝突、水漏れ、騒擾(そうじょう)、盗難による損害などが補償範囲に含まれます。
必要に応じて補償範囲を選択できるか確認しておきましょう。
補償対象に不足はないか
補償対象とは、火災保険の保険金支払いの対象になる資産のことです。火災保険のパターンとしては、建物を対象にするパターン、家財を対象にするパターン、建物と家財のどちらも対象にするパターンが考えられます。補償対象によって保険料も変動するため、まずはどこまでを対象にしたいか検討しましょう。
付帯できる特約には何があるか
火災保険には基本補償にさまざまな特約をプラスすることで、補償の範囲を広げられます。例えば、近隣に延焼した場合の損害を補償する類焼損害特約(損害賠償責任がない場合でも与えた損害をカバーできる特約)、損害発生時に損害保険金とは別に支払われる臨時費用保険金、などです。
投資用マンションであれば損害から復旧までの家賃の損失をカバーする「家賃補償特約」、賃貸マンションであれば過失に対応できる「借家人賠償特約」などの付保が可能です。
保険料を比較する
火災保険の保険料は保険金額などの条件が同じでも、保険会社によって異なります。補償内容を決めたら、複数社の見積りを比較しましょう。
ただし、火災保険に付帯する地震保険の補償内容や保険料は各社共通となっています。
火災保険の相場については、以下の記事で詳しく説明していますので、こちらをご覧ください。
火災保険は必要性が高い
火災保険は、投資用マンションと分譲マンション、賃貸マンションのいずれにおいても必要性の高い損害保険です。未加入のままでいると損害を受けたときに多額の損失を被る可能性もありますので、加入していない場合は早めの加入を検討しましょう。
また火災保険金を申請について相談する際など、
様々なサービス利用をポイントタウン経由にするだけでポイントが貯まります。
取得ポイントは1ポイント=1円分のお好きなサービスに交換できるので、
お得に不動産投資を始めることができます。
火災保険金の申請の際は以下をご覧ください。
火災保険申請サポート
初期費用0円、年間5,000件の調査実績で調査のプロがスピーディーに対応いたします。