ソーシャルレンディングとは、クラウドファンディングの1つであり、お金を貸したい投資家と資金調達をしたい事業者をインターネットを利用してマッチングさせる仕組みとなっています。想定利回りも比較的高いことから、特に人気のあるファンドになかなか投資ができないほどの注目を集めています。
ただし、ソーシャルレンディングに限らず、投資を始める前には基本的な仕組みや注意点などを押さえておかなければいけません。
そこで今回は、これからソーシャルレンディングを使って資産運用を始めたい方に向けて、ソーシャルレンディングの仕組みやメリット、注意点などについて解説します。
この記事の監修者
新井智美
金融のプロ
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間500本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は2,500本を超える。
(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP®
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員
https://marron-financial.com/
ソーシャルレンディングとは
そもそもソーシャルレンディングとは何でしょうか。ここではその仕組みやクラウドファンディングとの違いを解説します。
どうやって融資される?ソーシャルレンディングの仕組み
ソーシャルレンディングとは、インターネットを用いて、お金を貸したい投資家と資金調達をしたい事業者とを結びつける仕組みです。またの名を「融資(貸付)型クラウドファンディング」とも呼ばれています。
投資家は「匿名組合契約」という契約を結び、ファンドへ出資(投資)します。出資した資金はソーシャルレンディング運営会社を経由して借り手へ融資されます。借り手は運営会社に元本と利息を返済し、運営会社はその返済金から各投資家へお金を分配する仕組みです。なお、ファンドの運用期間を終え、投資先から無事に投資資金が返済されることを償還と言います。
<匿名組合契約とは> 資金を提供する投資家と事業を行う営業者との間で、1対1で結ぶ契約。出資を受けた事業で生じた利益は投資家に分配される。 |
「ソーシャルレンディング」と「クラウドファンディング」の違い
ソーシャルレンディングは、融資(貸付)型クラウドファンディングとも呼ばれる通り、クラウドファンディングの1種です。
クラウドファンディングには、金銭的なリターンを求めない「非投資型」と、金銭的なリターンを求める「投資型」に分けられます。投資型は、さらに融資型、株式型、ファンド型の3つのタイプがあり、ソーシャルレンディングは融資型に分類されます。
分類 | タイプ | 概要 |
---|---|---|
非投資型 | 寄付型 | ・寄付金として資金を送る・商品やサービス、金銭リターンは基本的に発生しない |
購入型 | ・物作り・サービス開発支援のために資金提供をする・支援のお返しにはモノやサービスがもらえる | |
投資型 | 融資型(貸付型) | ・融資としてお金を貸す・ソーシャルレンディングと同義 |
株式型 | ・未上場企業に投資をし、リターンに企業の株を受け取る | |
ファンド型 | ・多様なファンドに投資する・商品や特典サービス、売上金の一部が分配される |
ソーシャルレンディングの3つのメリット
ソーシャルレンディングを利用する3つのメリットを解説します。
少額から投資できる
サービスにもよりますが、ソーシャルレンディングは1万円程度からの少額投資が可能です。例えば、株式投資の場合は数十万円から数百万円、実物の不動産投資となると数千万円の資金が必要なケースも珍しくありません。
その点、ソーシャルレンディングでは、1口あたり1万円で投資できるサービスもあるため、「まずはお試しで投資をしてみたい」「少額から投資に慣れていきたい」という方にとって相性が良いのが特徴です。
運用の手間がかからない
ソーシャルレンディングでは投資さえ行えば、あとは運用状況を適宜確認するだけで、償還までにやるべきことはほとんどありません。株式投資のように、日々の経済ニュースや企業IRなどに目を通し、売買のタイミングを計る必要がないのです。
そのため、ソーシャルレンディングでの資産運用は、運用に時間が取られないほか、「今日は価格が下がらないだろうか」「ネイティブなニュースが出たが大丈夫だろうか」などの心配事も少なくて済みます。
比較的利回りが高い
大手ソーシャルレンディングが提供するファンドの想定利回りには3.0から5.0%程度の商品が多くあります。中には10.0%前後のファンドも存在します。
一方で例えば、2023年10月時点のプライム市場(従来の東証一部に相当)の平均利回りは2.26%、スタンダード市場は2.25%です。
これら日本を代表する市場の商品と比べても、ソーシャルレンディングの利回りは比較的高いと言えるでしょう。
ただし、ソーシャルレンディングのホームページに掲載されている想定利回りはあくまでも運用開始時点での想定であり、確約されたものではありません。ファンドの運用状況によっては、利回りが変更になる可能性たあるため、注意が必要です。
ソーシャルレンディングの4つの注意点
続いて、ソーシャルレンディングの注意点を4点解説します。
クリック合戦になる場合もある
ソーシャルレンディングのファンドへの申し込み方法には、「先着方式」と「抽選方式」の2種類があります。このうち先着方式はその名の通り、募集開始から早い者勝ちで投資ができるかが決まります。
そのため、先着方式の人気ファンドの場合、募集開始直後に投資家からのアクセスが集中し、少しでも早くクリックを押して申し込むクリック合戦になる場合があります。クリックが遅くなると、狙っていたファンドに申し込むことができません。
一方、抽選方式のファンドについても、人気ファンドは倍率が高いため、申し込める可能性は低いでしょう。ソーシャルレンディングで資産運用をしようと思っても、申し込みができないリスクがある点はよく認識しておく必要があります。
原則、途中解約ができない
ソーシャルレンディングでは、基本的に申し込み後に途中解約はできません。例えば、ソーシャルレンディングサービス「Bankers(バンカーズ)」では、途中解約について以下のような記載をしています。
入金後のキャンセルや運用開始後の中途解約はできますか? 当社では、ファンドへのお申し込み後は出資金の入金および運用開始のいかんに関わらず、お客様都合でのキャンセルはできません。 出典:よくある質問|Bankers |
上記の内容でもわかる通り、基本的にソーシャルレンディングで投資した資金は、償還まで引き出すことができません。そのため、緊急でまとまったお金が必要になった場合があっても、問題のない資金額で投資する必要があります。
貸付先の情報開示が不十分なケースがある
ソーシャルレンディング運営会社によっては、貸付先の情報が不十分な場合があります。
投資をするか否か、貸付先の事業内容や資金の利用用途などを踏まえて判断することは極めて重要です。金融庁としても、投資家への情報開示の拡充を目的に、融資先の匿名化を解除する(貸付先の情報開示を可能とする)解釈を公表しています。
ただ現状は、貸付先の情報が不透明なケースが少なくありません。情報開示が不十分だと、貸し倒れリスクを分析できず、リスクの高いファンドだと知らずに投資をして、元本割れ(貸し倒れ)してしまったというケースも起こり得ます。融資先の情報を開示しているかどうかの項でも解説している通り、情報開示が十分なソーシャルレンディング運営会社のファンドを選んで投資するようにしましょう。
早期償還になるケースもある
予定されていた満期日よりも早く資金の返済が行われる、早期償還となるケースもあります。早くお金が返ってくること自体は良いことですが、一方で、早期償還されると当初想定していた分配金を得られない可能性があり、新たな投資先を探す手間も生じるでしょう。早期償還によって思ったほど利益が出ないケースも事前に想定しておくことが大切です。
ソーシャルレンディングの3つの種類
ソーシャルレンディングには募集形式によって3つの種類にわかれます。
なお、3つの形式のうち、マーケット型・オークション型は現在ほとんど実施されていません。両者については参考程度に押さえておきましょう。
ファンド型
ファンド型は、現在の日本で最もメジャーな形式です。ソーシャルレンディング運営会社が融資を希望する事業者のリスクを審査して、募集金額や金利、融資機関などを決めていきます。
ファンド型では、投資家は事業者について自ら調査する手間はなく、金利の設定も不要です。そのため、ソーシャルレンディング初心者におすすめの形式になります。
マーケット型
マーケット型は、ソーシャルレンディング運営会社が融資を受けたい事業者の審査および格付けを行う形式です。格付けを参考に、投資家自身が融資の有無や金利、融資額を決めた上で申し込みを行える点が特徴です。
オークション型
オークション型とは、オークションで金利を決定する形式であり、融資をして欲しい事業者は自社の信用性や借り入れの目的をアピールし、貸し手である投資家が金利を掲示します。最も低い利率を掲示した投資家が融資を行う権利を得ることができるのです。
【簡単3ステップ】ソーシャルレンディングの始め方
ソーシャルレンディングの始め方は以下の通りです。
ここでは上記3つのステップについて解説していきます。
ステップ① 口座開設をする
始めに、ソーシャルレンディング運営会社で所定の手続きに沿って口座開設を行います。運営会社の選び方は、ソーシャルレンディング選びの3つのポイントの項でも解説していますが、金融庁への登録および行政処分の有無や情報開示への姿勢がポイントです。申し込み後は審査が行われ、無事通過すれば口座開設完了です。
ステップ② 口座に入金する
口座開設を終えたら、入金手続きを完了させましょう。ただし、運営会社によっては「ファンド申し込み→入金」になるケースもあります。入金手続きについては、運営会社の公式ホームページを確認しましょう。
ステップ③ ファンドを選んで申し込む
入金後には、投資をするファンドを選定し、申し込みをします。ファンド選びでは、相場よりも著しく高い想定利回りに気をつけながら(※詳細はファンドの想定利回りが著しく高くないかの項に記載あり)、開示されている情報を参考に選定しましょう。
ファンドの申し込み後は、償還されるまで投資家は特にやることはありません。ただし、運営会社から送られてくる運用状況は適宜チェックし、分配金がしっかり支払われているかどうか確認しておきましょう。
ソーシャルレンディング選びの3つのポイント
最後に、ソーシャルレンディング運営会社およびファンド選びのポイントを3点解説します。
ファンドの想定利回りが著しく高くないか
相場と比べて著しく高い想定利回りのファンド選びは、慎重に取り組みましょう。投資家に申し込んでもらうために、ソーシャルレンディング運営会社が高い利回りを設定し、貸付先には無理な金利で資金を貸しているケースも考えられます。すると当然、返済遅延リスクおよび貸し倒れリスクも高くなるためです。
目安としては、大手ソーシャルレンディング運営会社において多くのファンドが設定している想定利回り3.0から5.0%程度が一つの基準になるでしょう。想定利回りだけを見るのではなく、運営会社の実績や情報開示内容などを総合的に踏まえて、投資先は選ぶようにしましょう。
運営会社の信頼性:金融庁の登録・行政処分の有無
残念ながら、過去には一部ソーシャルレンディング運営会社に対して、金融庁は登録取り消しや業務停止命令などの行政処分を実施しています。そのため、口座を開設する前に運営会社の信頼性をチェックしましょう。
具体的には、金融庁で第二種金融商品取引業の登録を受けているかどうか、行政処分を受けたことがないかも最低限チェックします。
前者の金融庁の登録については、金融庁ホームページの免許・許可・登録等を受けている業者一覧の「金融商品取引業者」でチェックできます。
また行政処分については金融庁ホームページの報道発表資料で随時発表されるほか、検索エンジンで「運営会社名 行政処分」で検索すれば、行政処分を受けたことがあるかどうかについて確認できます。過去に行政処分を受けた運営会社を利用したい場合は、現在は再発防止策を取っているのか、慎重に確認した上で利用を検討しましょう。
融資先の情報を開示しているかどうか
口座開設をするソーシャルレンディング運営会社を選ぶ際には、運営会社が融資先の情報を十分に開示しているかどうかが大切です。融資先の情報が開示されてあれば、返済遅延リスクや貸し倒れリスクなどを踏まえた投資判断ができます。具体的に第二種金融商品取引業協会では、以下のような内容の情報開示を運営会社に求めています。
<求められる情報開示内容(一部抜粋)> 借り手の属性(業種・事業内容、正会員及び事業者との利害関係の状況など)回収可能性に影響を与える情報(借り手の財務状況又は財務情報、担保情報など)審査態勢(審査体制、審査手続きなど)返済遅延等に関する情報(当該事業者の他のファンドにおける分配・償還に影響を与える返済遅延やデフォルトの発生など)担保情報(担保の有無、担保がある場合には、その種類や評価額、評価方法) 出典:貸付型ファンドに関するQ&A|第二種金融商品取引業協会 |
ソーシャルレンディング運営会社によって、情報開示の姿勢は異なります。情報開示に積極的な運営会社なのかどうか、投資前に必ず確認しておきましょう。
少額投資&利回りが期待できるソーシャルレンディングを始めよう
ソーシャルレンディングは1万円程度からの少額投資が可能なほか、比較的高い利回りも期待できます。さらにファンドへの申し込み後も運用の手間はかかりません。
一方で、ソーシャルレンディング運営会社およびファンドを選ぶ際には、「相場よりも想定利回りが高すぎないか」「運用会社の信頼性は高いか」など、細かいことまで見極めることが大切です。
リスクをよく理解した上で、ソーシャルレンディングで資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
またソーシャルレンディングで資産運用を始めたいと考えている方は、お得&手軽にお小遣いを貯められるポイントタウンでのポイ活がおすすめです。
ソーシャルレンディングをポイントタウン経由で申し込むだけで、ポイントをもらうことができます。
例えば、AGクラウドファンディングの場合、ポイントタウン経由で投資家登録完了後90日以内に10万円以上投資をすることで、8,500ポイント(8,500円相当)が付与されます。またBankers(バンカーズ)においては、新規会員登録後90日以内に50万円以上の投資をすれば6,500ポイント(6,500円相当)を獲得できます。
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